【レポート前編】芸能活動と会社員としての仕事の二軸でキャリアを歩む十束おとはさん、日本工学院ミュージックカレッジの講義に登壇

デュアルキャリア授業開催の背景

近年、芸能界では、芸能活動と並行して他の活動でキャリアを形成する「デュアルキャリア」が注目されています。従来は本業一本で活動することがよしとされてきましたが、コロナ禍で芸能活動の範囲が制限されたことをきっかけに、「デュアルキャリア」によって自己表現の場を広げ、収益を拡大するケースが増えています。

そのようななか、世界の才能をつなぐプロフェッショナルを目指すエイスリーは、芸能人や芸能活動を志す人が長く芸能界で活躍するために、キャリアの選択肢のひとつとしてデュアルキャリアを支援する必要性を感じてきました。

そこで、日本工学院とともに同学院の学生に向けて、デュアルキャリアの授業を開催する運びとなりました。

今回の授業は、音楽業界やアーティストを目指す、ミュージックカレッジ・ミュージックアーティスト科の1・2年生を対象に、自身のキャリアの選択肢としてデュアルキャリアを知ってもらうことを目的としました。ゲスト講師には十束おとはさん（以下十束さん）をお招きし、十束さん自身の経験を踏まえながらデュアルキャリアのメリットや必要な視点について語っていただきました。MCは、エイスリーでタレントのキャリアと企業の採用支援をおこなう、タレントキャリア支援サービス担当・タレントキャリアアドバイザーの別府彩が務めました。

日本工学院専門学校概要

日本工学院は、学園創設77年の歴史ある総合専門学校として、クリエイターズ、デザイン、ミュージック、IT、テクノロジー、スポーツ・医療という6カレッジ34学科99の専門分野を網羅。ミュージックカレッジは、ミュージックアーティスト科、コンサート・イベント科、音響芸術科、ダンスパフォーマンス科の4学科（八王子校は2025年度新設）を設置している。
国内有数のコンサートプロモーターほか、多数の企業と提携し、多くの卒業生がコンサート・音楽業界に携わるスタッフや、プロのミュージシャン・ダンサーとして活躍している。

ゲスト講師 / 十束 おとは（とつか おとは）

「フィロソフィーのダンス」元メンバー。2022年11月19日に日比谷野音での卒業コンサートでグループを卒業。現在はゲーマーやMCなどの芸能活動もおこないながら、エンタメ企業のesports関連部署で働き、デュアルキャリアを歩んでいる。

MC / タレントキャリアアドバイザー 別府 彩（べっぷ あや）

元アナウンサー/タレント。 10年間フリーアナウンサーとして活動。
31歳で遅咲きのグラビアデビューを果たし、「踊る！さんま御殿！！」などのバラエティ番組に出演。33歳で芸能界を引退、企業へ就職。現在は自身の転職活動での経験をもとに、タレントのキャリア課題解決のための、カウンセリング等を実施。

前編では、十束さんのキャリアの軌跡をお伝えします。（以下敬称略）

アイドル時代から、趣味や特技を活かして多分野で活動

十束：たくさんの生徒さんがこの講義に参加してくれて本当に嬉しいです。私もみなさんと同じ歳の頃は大学生として校舎で講義を受けていました。なんだか懐かしいです。

別府：大学に通われていたのですね。どのような経緯でアイドル活動を始めたのですか。

十束：大学卒業後は、会社員として働いていました。しかし、会社が合わなくて入社数ヶ月後に、退職しました。その後は、心の不調で家に引きこもっていました。ただ当時、何か新しいことにチャレンジしたいという焦りを感じていたのです。

そんななか、格闘ゲームの公認応援団「電撃ファイティングガールズ」のオーディションをネットで知りました。学生時代、ゲームを1日に12時間プレイするほどゲームが好きだったこともあってオーディションを受けたら、合格をいただきました。

そこから任期の一年「電撃ファイティングガールズ」として活動して、「芸能活動が楽しい、さらに上を目指したい」という気持ちが芽生えました。そして、活動を終えてから別のオーディションに挑戦し、アイドルとしてデビューすることになりました。

別府：アイドル時代に、どのようなことを意識していましたか。

十束：歌って踊るだけではなく、多分野で活動することを心がけていました。もしひとつの分野がうまくいかなくても、他の分野で生計を立てながらキャリアも築けると考え、心に余裕を持てたからです。

それにアイドルの仕事は、多面的な魅力が求められます。グループのアイドル活動もしつつ、個人での活動もありました。自分の得意なこと、好きなことを起点にプロゲーミングチームに所属したり、ファッションショーに出演したり、映画に関連したインタビューを受けたりしていました。

アイドルを卒業して、新しい場所で活躍しようと決意できた訳

別府：このお写真は、いつのものですか。

▲フィロソフィーのダンスの卒業ライブの様子

十束：フィロソフィーのダンスの卒業ライブです。3,000人以上のファンの皆さんに盛大に送り出していただきました。

別府：活動初期からこれほど多くのファンがいらっしゃったわけではないと聞きました。活動の初期には、どのくらい観客がいたのですか。

十束：ほぼいない状態です。いたとしても、ステージにあまり興味がなさそうな方もいました。なので当時は、目の前の観客の心を掴もうという気概で、ステージに立っていました。その積み重ねでファンが増えたわけですが、アイドルを卒業した後も、ファンの方がいてくださることの有り難さを感じています。

別府：それはなぜですか。

十束：私が新しいことに挑戦したとしても、そのことを応援してくれる方がいるからです。私は2018年に怪我などの状況が重なり、今後キャリアを考えはじめ、他の世界をみてみたいと感じるようになりました。新しい場所で活躍しようと決意できたのは、ファンの方の応援が心の支えになったからです。たとえアイドルを卒業しても、これまで築いてきたものが次に活きる、支えになると感じる経験でした。

過去の経験を活かして歩む、デュアルキャリア

別府：フィロソフィーのダンスを卒業後、どのようなことに挑戦されてきたのですか。

十束：「ゲーマータレント」としてゲーマーやMCを務めるような芸能活動をしながら、エンタメ企業に就職して、ゲームイベントの企画と運営をしています。格闘ゲーム国際大会に携わった際には、ゲーマータレントとしてサブMCに出演しながら、イベントの運営にも携わりました。表舞台と裏方の両面を経験できたのは、デュアルキャリアの良さのひとつです。また、イベントの企画運営は、アイドルとして表舞台に出演していた経験が活きていると感じています。

▲ゲーマータレントとしてサブMCに出演しながらイベントの運営に携わった、格闘ゲーム国際大会の様子

別府：経験したことが後々どこで活きるか、なかなか想像がつきませんよね。

十束：そうですね。ただ私はこの取り組みを通じて、何事も経験は活かせるのだということを実感しました。例えば今こうやって皆さんが素敵な環境で勉強して得た知識も、皆さんのキャリアのどこかしらで役に立つと思っていますし、そう信じています。

別府：他にも挑戦されていること、またはこれから挑戦されていきたいことはありますか。

十束：キャリアコンサルタントの資格取得に挑戦しています。メンタルケアにも興味があって、これまでメンタル領域の資格を二つ取得してきました。今後は、皆さんのように若い方のキャリアの心に火をつけていきたいです。

自身の得意分野や好きなことを活かして、キャリアを切り開いてきた十束さん。
後編では、芸能界を志す人に向けたアドバイスをお伝えしていきます。

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*本記事に記載された内容はイベント時2024年4月10日のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

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