アニメーターの平均年収とは|キャリアパスや中国などでの年収事情も
この記事の監修者
番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。
目次
アニメーターの給料(年収)は
日本におけるアニメーターの均年収は約334万円であるといわれています。
これは日本人全体の平均年収よりも下回っている金額ですが、実はそれには理由があります。
その理由の一つが、契約形態です。アニメーターの半数は特定の企業に社員として所属するのではなく、形式上はフリーランスという扱いの人が多いのが現状です。
フリーランスとはすなわち自営業であり、一般企業のように勤続年数による昇給や昇進が望めません。
そのため、40代以降で管理職になると飛躍的に給与が上がっていく、という給与の上昇曲線を描けないのです。
なお、実はこの現状の年収金額は以前よりも改善されています。一時期、アニメ業界の労働環境の劣悪さが取りざたされ、注目されたことがありました。働き方の改善に対する関心がアニメ業界の内外で高まり、収入面が改善されたのです。
アニメーターにおけるキャリアパスの可能性
作画担当であるアニメーターの道を探求し、そのままプロフェッショナルとしてアニメーターであり続けるという働き方もあるでしょう。
ですが、アニメーターの先にはさまざまなキャリアが広がっており、経験を活かして新たな職種を目指すことも可能なのです。
ここでは、アニメーターから目指せる代表的な上位職種について解説していきます。
作画監督
作画監督は、作画全体のクオリティに対する責任をもった職種です。アニメーターが手がけた原画に対してチェックや修正を行い、作品をより良いものにします。
作画における最高責任者という立場であり、的確な修正によってキャラクターの表情や演技などの完成度を底上げする仕事です。
作画監督からの修正指示などを受けることでアニメーターはスキルアップしていき、「どんな作画が良い作画なのか」を学んでいくことができます。
作画監督はアニメーターが目指す次のステップとして代表的な職業であり、動画担当のアニメーターから原画担当のアニメーターへステップアップした、その先に存在する職種です。
原画を担当するアニメーターも高い画力や演出への知識が必要になりますが、それを上回る技術や知識が求められます。
代表的な作画監督としては、「呪術廻戦」の総作画監督を勤めた西位輝実氏が有名です。
総監督
作品の総責任者であり、作品そのもののクオリティに対して責任をもつ総監督に進む道もあります。
原画担当のアニメーターとして実績を作り、作画監督を経験して、最終的に作品全体の責任者である総監督へと上り詰めることもアニメーターのキャリアパスの一つです。
そのためにはアニメーションに関する技法や作画、演出についての深い造詣と理想はもちろんのこと、制作に関する哲学や理念も必要不可欠となります。
アニメーターとして腕を磨きながら、どうすればもっと面白くなるのか、どうすればもっと良くなるのかを考え、自分のなかに落とし込むことを継続的に続けなければならないでしょう。
総監督として有名なのは、化物語シリーズなどを手掛ける新房昭之氏が挙げられます。
漫画家・イラストレーター
アニメーションから離れたクリエイティブ制作の世界に進める可能性もあります。
漫画家やイラストレーターは、アニメーターの作画制作で培われた画力や演出力を発揮できる職業です。
アニメーターは制作プロジェクトが決まっており、基本的に自分の個性を発揮するのは相当な有名アニメーターでもなければ難しいものです。
ですが漫画家やイラストレーターは、アニメーターと比較して自分の個性やセンスを発揮することができます。
給与を上げたい場合、国外の企業へ転職という選択肢も
先ほどご紹介した平均年収約334万円というのは、日本のアニメーターの話でした。
実は海外では、日本よりも高額の給与水準であるという点を知っているでしょうか。
これには、アニメーション制作に関する構造的な理由が大きく関係しています。日本の場合は「製作委員会」という形でのアニメ制作が主流です。そのため、アニメの収益が関連企業に分配されてしまい、実際にアニメを制作したスタジオには固定の報酬しか入らないのです。
必然的に制作スタジオで働くアニメーターの給与の水準は低くなってしまいます。
それに対して海外では、アニメで得た収益は制作スタジオに入るため、結果的に高い収入につながります。
こうした背景もあって、日本から優秀なアニメーターが海外に転職しているというのが現状です。なかでも、特に転職先として注目されているのが中国のアニメ市場です。なぜ注目されているのか、少し詳しく解説していきましょう。
中国のアニメ市場が熱い
クリエイターに対して相応の対価が支払われる仕組みは、中国でも作られています。日本円に換算したとして、少なくとも日本でアニメーターとして働くよりは高額な年収が期待できます。
労働環境も整備されており、ハードワークばかりということもありません。
こうした現状に加えて、日本のアニメーションは中国でも人気があり、日本のアニメーターが求められているという背景もあります。これらが合わさり、日本人のアニメーターが関わる中国産のアニメがどんどん制作されているのです。
また中国では、映画をはじめとしたエンターテインメント関連作品の放送やロードショーに関して、国産作品を優遇するという政策をとっていることも知られています。
アニメーションで言うならば、輸入アニメと国産アニメの比率を3:7に制限し、ゴールデンタイムに輸入アニメの放送を禁止するなど、国産アニメを国内で盛り上げるための施策を実施しています。
かつては、日本産のアニメが中国語訳されて中国で放送されるのみでしたが、現状は逆転現象が起こっています。すなわち、中国産アニメが日本語訳されて、動画サービスなどに登場しはじめているのです。
中国のアニメ業界は成長市場であり、なおかつ成熟しつつあると考えて良いのではないでしょうか。
転職先としての選択も
前述したとおり、中国におけるアニメーターの需要は年々増加しています。中国のアニメ制作会社は、日本人のアニメーターの採用に積極的なのです。
こうした動きを受け、中国企業が日本国内に日本法人を設立することも珍しくなくなっています。日本と中国という国家間の垣根を超え、優秀なアニメーターが活躍できる環境を整えることで、よりハイクオリティなアニメ作品を制作していこうという流れが生まれています。
もし日本のアニメ業界における労働環境・待遇・収入に対して何らかの不満があるなら、中国のアニメ業界も視野に入れてみてください。
日本にいながらにして、中国企業の日本法人のメンバーと、日本語でコミュニケーションをしながら働くことも可能なのです。
アニメーター側としても、安定した労働環境で、なおかつ日本で働くよりも高額の収入が期待できることから、作画制作に集中して良い作品を生み出すことができる点も魅力ではないでしょうか。
中国のアニメ制作会社を探すには?
いざ中国のアニメ業界に挑戦しようと思っても、どうすればいいか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、アニメ関連企業の求人を保有しており、なおかつ海外企業もカバーしている転職エージェントを活用することを検討してみてください。
中国企業の中国語のサイトを探し、翻訳しながら応募するのは簡単なことではありません。それらに加えて、日本の転職事情との違いなども調べなければならないでしょう。
転職エージェントを活用すれば、そのような面倒ごとや不安を解消できます。
希望条件や勤務地などの相談に乗ってくれるのはもちろん、採用試験の有無・面接の仕方など、どのように対応したら良いのか手厚くサポートしてくれます。
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※平均年収などの情報は、2022年11月当時のIndeedの平均値や当社顧客データベース情報に基づきます。