マーケティングリサーチャーになるには|仕事内容や将来性を解説
この記事の監修者
番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。
目次
マーケティングリサーチャーとは
マーケティングリサーチャーという仕事が、何かしらの調査を行っているというのは簡単に想像できるでしょう。
彼らは具体的には、市場に流通しているさまざまな商品やサービスについて調査を行っています。
新商品の開発やサービスを開発する際、市場ではどういったものが求められているかを知っておく必要があります。
また、“マーケティング”リサーチの名からも分かるとおり、彼らはマーケティングや流通についても調査します。
求められている商品だけではなく、どのようなマーケティングや流通を計画すれば成功するのかを知ることもできるのです。
マーケティングリサーチャーは開発を開始するための第一歩を担う仕事であると同時に、開発された商品をどのように売っていくかを決定する際にも重要な情報を提供する仕事でもあります。
マーケティングリサーチャーの仕事内容とは
マーケティングリサーチャーは、主に下記の3種類のいずれかに所属することになるでしょう。
・企業のマーケティング部門に所属し、自社商品を専門的に調査する
・マーケティングの専門企業に所属し、一つの企業や一つのジャンルにとらわれず、クライアントの依頼に合わせてさまざまな商品を調査する
・フリーランスとなり、個人的に(または個人事業として)依頼を受け、依頼に応じて調査する
いずれの場合も仕事内容は同様です。では、もう少し具体的に仕事内容を確認していきましょう。
市場調査
重要な仕事の一つが、商品開発の肝となる「市場調査」です。
インターネットや電話、あるいは実際に街頭で人に声をかけてアンケートを行い、結果を集計します。
その結果を元にして、調査対象となる商品の強み・弱み、どのような層が受け入れているか、受け入れられていないならその理由は何か、などを考察します。
調査してデータを集めることも重要ですが、大切なポイントは考察部分です。正しく考察できるかが、マーケティングリサーチの精度を大きく左右するためです。
企画・開発
前述の「市場調査」で市場動向を掴んだあとは、次はいかにして対象となる商品を企画・開発していくかの段階となります。
ターゲットが明確になったのであれば、次はターゲットに向けたマーケティング手法の確立も担当します。
商品やサービスの魅力を的確に伝えて購買意欲を刺激するためには、ターゲットにとって印象に残るネーミングやデザインが重要となります。
それらをふまえたうえで、ブランディングも含めたマーケティングを企画していきます。
市場導入後の振り返り・分析
ここまでは商品開発に関わる仕事でした。ですが当然、商品は作って終わりではありません。
市場に投入した商品やサービスの反応を見ながら、継続的にマーケティング活動を行っていきます。
競合商品と比較してどうか、ターゲットは的確であったか、マーケティングプランは順調か、などを予測と比較して検討していきます。
想定と異なる動きをしていたり、予想よりも悪い結果だった場合は、追加の施策を行う必要性もあるでしょう。そしてその際にはもう一度、前述した「市場調査」からのリサーチを開始していくのです。
マーケティングリサーチャーに求められるスキル
ここまでは、マーケティングリサーチャーの仕事について確認してきました。
それでは、実際にマーケティングリサーチャーになるにあたって、どのようなスキルがあれば良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
データ分析に関する知見や興味
市場調査において求められるのは、データ分析能力です。
集まった膨大なデータを処理することはもちろん、そもそもどういった情報を集めれば良いのか、必要な結果を得るためにはどういった母集団にアプローチすべきか、といった予測から組み立てる必要があります。
そのため、統計などを含めてデータ分析に関する知識が必要不可欠です。
また、調査や分析といった業務はそれほど派手な成果を得られるものでもなく、スポットライトを浴びにくい業務です。調査・分析を行うことそのものに対する興味がなければ、モチベーションを維持するのは難しいでしょう。
データだけでなく消費者行動を観察する力
市場調査で集まったデータをもとに、考察を行うことが重要であるとお伝えしました。
機械的に処理するだけでは十分ではなく、自分の知見をもとにした考察を加える能力が非常に重要です。
なぜこのようなデータが得られたのか、何が消費者の興味を引いたのか、そしてどうすれば再現できるのか。
あるいは、市場に受け入れられていない商品は、なぜ失敗したのか。
そういった消費者の行動を、事実の観察と過去の知見を元にした想像によって理解していく必要があります。
そうすることで、より具体的にマーケティング活動を行うことができるようになり、商品やサービス開発にも大いに役立つのです。
マーケティング分野やIT業界の経験が有利
“マーケティング”リサーチャーという名の通り、マーケティングに関する経験や知識があると有利に働きます。
加えて、現代では多くの場合インターネットを活用して調査やプロモーションを展開することから、IT業界に関する知見も役に立つでしょう。
市場ではどのようなツールやアプリが使われているのか、各SNSの特徴はどういったものか、どのようなマーケティング手法が開発されているのかなど、業界そのものに対する知見を深め、深掘りしつづける好奇心は不可欠なものではないでしょうか。
マーケティングリサーチャーの転職先
マーケティングリサーチャーがキャリアアップしていくとしたら、どのような転職先が考えられるのでしょうか。
大きく分けて2つのパターンがあるので、それぞれ解説していきます。
同業種・同業界へ転職するパターン
マーケティングリサーチャーの道を極めるべく、同じ業種・同じ業界の会社に転職するパターンがあります。
その場合は、すでに培ってきたスキルや経験をそのまま生かすことができます。
そのうえで所属する企業を変えることで、同じ職種でありながらも新たな知見や考え方を吸収することができます。
さらに多角的にスキルを蓄積することで、いわゆる「引き出し」を増やすことにつながります。より深い考察ができるようになったり、最適なマーケティング手法を提供できるようになったりしていくでしょう。
他業種・他業界へ転職するパターン
マーケティングリサーチャーがもつ分析力や調査力、そしてマーケティングに関連した企画力は他の業種や業界でも大きく役立ちます。
例えば、調査力やマーケティング力を活かしてマーケターになれるかもしれません。
分析力と企画力を活かして、コンサルタントになる道もあります。あるいは、考察力やデータ活用の能力をさらに強化することで、データアナリストやデータサイエンティストになる未来もあるでしょう。
- 必要なデータを集め、調査できる。
- 集まったデータを分析し、考察できる。
- 考察をもとに市場を理解し、マーケティングに活用できる。
- 市場理解をさらに掘り下げ、企画を立案できる。
- 継続的に振り返り、改善策を提案できる。
マーケティングリサーチャーが備える上記能力は、いずれもさまざまな場面や業界で需要がある能力です。
これらの強みを活かし、幅広い職種にチャレンジすることができます。
または、どれか一つか二つに注目して能力開発を続けていくことで、別の専門職に職種変更することもできるでしょう。
マーケティングリサーチャーの将来性とキャリアパス
ここまでは、マーケティングリサーチャーの転職先について考えてみました。では、マーケティングリサーチャーという仕事そのものは将来どのようになっていくのでしょうか。
ここで確認しておきましょう。
将来性
近年、中堅程度の能力をもつマーケティングリサーチャーは不足傾向にあります。
一つは、単純に従事する人数が求められる人数に対して不足しているという点が挙げられます。
そしてもう一つは、現在マーケティングリサーチャーとして従事している人の調査スキルやコンサルティングスキルが不十分であるという点も挙げられます。
中堅の、ある程度の高いスキルをもったマーケティングリサーチャーが不足しているというのは上記2点を加味してのことです。
そのため企業側は、2つの面からアプローチを行っています。
一つは、即戦力として活躍できる人材を採用することです。ですが、そもそも転職市場に存在するマーケティングリサーチャーの数が十分ではないため、この試みはなかなかうまくいきません。
もう一つは、未経験者を採用して教育していくという方法です。前述した「マーケティングリサーチャーに求められるスキル」のいずれかを備えた人材を未経験でも採用し、マーケティングリサーチャーとして育てていくというわけです。
そのため、経験が浅いマーケティングリサーチャーや、これからマーケティングリサーチャーになろうと考えている人にも大いにチャンスはありますし、今後もしばらくは求められる職種であると考えてよさそうです。
キャリアパス
マーケティングリサーチャーになってから1年目〜4年目までは基本的な知識を学び、インプットしながら少しずつアウトプットしていくことになるでしょう。
5年ほど経過すると一人前のマーケティングリサーチャーとして活躍できるようになります。
なかにはマネージャーとしてプロジェクトを任される人や、クライアントから大きな信頼を得て「名指しで仕事をもらえる」という人も出てくるでしょう。
このような成果を継続的に出せるようになれば、マーケティング職のある意味では到達点でもある「CMO(最高マーケティング責任者)」を任されるようになるかもしれません。
会社運営に役員として参画する可能性もあるでしょう。
あるいは、成果をもとに転職して上位役職者や管理職、経営陣になることもあるかもしれません。
または、「名指しで仕事をもらえる」ほどの信頼を多くのクライアントから集められたのであれば、独立してフリーランスになったり自分の会社を立ち上げたりすることも可能です。
未経験や若年層でも参入でき、なおかつしばらくは需要が続くと見られるマーケティングリサーチャーという職種だからこそ、長期的なキャリアプランを設計することができるのです。
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