需要が増加する動画編集スキル。コンテンツ産業を根底から支え、絶えず求められるスキルを、いくつかの要素に分解して解説

この記事の監修者

志土地
志土地キャリアアドバイザー

番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。

動画編集のスキルはまだまだ需要がある

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YouTubeをはじめとした無料動画サイトのユーザー数はいまだ増え続けており、特に日本で高い人気を誇っています。それに比例するように大手企業も動画広告を制作するようになってきました。

動画編集スキルは、イラスト制作、デザイン制作、サウンド制作と並んで、クリエイティブ系スキルのなかでもまだまだ需要が増え、これからも伸びていくと考えられている能力です。

どのようにして身につければ良いのでしょうか。この記事で解説していくので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

コンテンツ産業の発達により動画編集スキルが求められている

日本では、世界各国と比べてYouTubeの視聴数が多いといわれています。VTuberのような比較的新しい配信形態も広まり、幅広い世代に動画コンテンツが親しまれています。その流れに乗り、大手企業を初めとした企業各社が無料動画サービス向けの動画広告を出稿するようになってきました。

また、スマホアプリ・ゲームは小規模な作品・製品が毎年多数ローンチされています。これまでよりもプロジェクト規模は小さく、その代わり速いペースで多くのタイトルが制作されやすくなっているのです。これらのコンテンツ内動画や動画広告も増えています。

コンテンツ産業が発達するにつれ、動画編集スキルはますます社会から求められるようになってきています。

 

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動画編集に求められるスキル

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「動画編集スキル」は、実際はさまざまな知識・経験・能力が総合されたスキルであり、複雑な要素が組み合わさって形成されています。
この項目では、「動画編集スキル」が内包する要素を紐解きつつ、どのようなスキルをもっていれば「動画編集スキルが高い」のかを解説していきます。

動画編集ツールが使用できる

動画編集には、専用の編集ソフトやツールを使用します。これらのツールの使用に慣れ、使いこなせることは、動画編集のために必要な最低限の能力と言えるでしょう。
多様な機能を使いこなせるだけでなく、実現したい表現にはどのような機能が適しているか、といった制作面での知見も必要となります。

また、動画を取り込んだり、エフェクトを加えたり、書き出したり、といった作業でPCに負荷をかけてしまうのはもちろんのこと、ツールそのものの動作が重く、PCのメモ容量を圧迫する場合があります。
ツールに慣れるためには普段から触れ、使い続けることが必要ですが、そのためには一定のPC環境を整えなければならないでしょう。

専門学校や技術養成所で学んだり、制作会社で働きながらツールの使い方を覚えるのであれば問題ありません。しかし、個人で動画制作を行ったり、独学で覚えたりする場合には、環境を整える際に少し費用がかかってしまうことを覚えておきましょう。

動画の構成力がある

現在、世の中にはサブスクリプション型サービス、無料ゲーム、無料動画コンテンツなど、エンタメコンテンツがあふれています。こんな状況のなか、動画1本を「最初から最後まで、見切ってもらう」ことは、大変難しいことです。

みなさんも、思ったよりおもしろくなかった動画の視聴を止めて、別の動画に切り替えた、という経験は何度もあるのではないでしょうか。
この「別の動画に切り替えた」という行為は、動画コンテンツを提供する側からすれば致命的です。視聴時間の長さによって、広告が発生したりコンテンツの優良さが評価されたりすることがあるため、動画の途中で離脱してほしくないのです。
また単純に、ユーザーに「つまらなかった」という視聴体験をさせてしまったこと自体が、動画コンテンツとしても良くないでしょう。

そうならないため、動画の構成力が求められます。コンテンツの要求を満たせているか、離脱されやすくないか、最後まで見たくなる内容か、といった要素を検証し、動画を構成する能力が必要なのです。

動画の「編集」に関する技術の巧拙は、まさにこの構成力が大部分を占めているといっても過言ではないでしょう。

視聴者から求められる動画の見せ方ができる

バラエティ系、感動系、おもしろ系など、さまざまな「動画のタイプ」があります。チャンネル特有の色や特徴があり、視聴者はそれらを求めて登録しているはずです。

字幕、テロップ、カットや編集、場合によってはCG合成やアニメーション、SE(サウンドエフェクト)なども活用して、視聴者が求めている動画の見せ方ができると重宝されます。
そのためには、映像表現に関する知識・経験の引き出しと、実際に動画上に実現できる動画制作のツール操作スキルも必要です。

動画編集に必要なツール3選と使い方

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前項では動画編集スキルを分解して確認しましたが、その際、ツール使用に関するお話をしました。次は実際に、どのような動画編集ツールがあるのか見てみましょう。

ここでは代表的な3例をご紹介するので、参考にしてみてください。

初心者におすすめ『AviUtl』:無料かつ日本語対応で使いやすい

AviUtlは、YouTubeやニコニコ動画などで日本人投稿者がしばしば使用するツールです。「KENくん」という個人が開発したソフトで、日本語に対応しています。対応環境はWindowsのみですが、動画の切り貼り、画像や動画の挿入・合成、音声差し替えなど、ほとんどの編集操作が可能です。

・動作が軽く、高性能PCが必要ない。
・拡張性が高く、カスタマイズしやすい。
・有志による使い方解説があり、日本語コミュニティが充実している。
上記のような利点もあるため、動画編集の初心者におすすめできるツールです。

経験者におすすめ『Adobe Premiere Pro』:ハリウッドでも使われるプロ仕様

Adobeが提供している動画編集ソフトです。高機能版のPremiere Proと簡易版のPremiere Elementsがありますが、経験者におすすめするのは高機能版です。
ある程度の人気・資金力があるYouTuberも使っていますが、テレビ業界でも、そしてハリウッドの映画製作でも使用されることがある優秀なソフトです。

できることは無料ツールよりもはるかに多く、AIによる編集ポイントの自動検出や、モバイル端末で編集できるPremiere Rushとの連携など、有料ならではの機能が充実しています。

上級者におすすめ『Adobe After Effects』:映画、テレビ並みの映像加工が可能

映画やテレビでのCG加工にも使われているツールで、動画内での一部対象の切り抜きや加工、デジタル処理、アニメーション制作など、本格的な映像制作が可能です。切り貼りするだけの編集とは一線を画す、ハイレベルな動画制作が可能になるでしょう。

その代わり、これまで紹介したなかでもっとも複雑で、できることが多すぎるあまり「何をしたらいいかわからない」と言われることすらもあります。編集の道を進み、スキルアップしてきたと感じたら触れてみるのも良いでしょう。

動画編集スキルを独学で身につける方法

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動画編集に関するさまざまなスキルが存在することは、前項でお伝えしました。同様に、動画編集スキルを身につける方法にも、いくつも選択肢があります。ここでは代表的な選択肢を3種紹介します。

オンライン学習

例えば、前述のAviUtlには初心者向けの解説ページが、After Effectsには公式サイトに使い方解説の動画があります。あるいはYouTuberなどが「動画制作のコツ」のような動画を配信していることもあります。

自分の手元でツールを触りながら、オンラインの情報で学習するという方法が、ツールの使い方を覚えるには効果的です。

YouTubeの視聴で勉強する

昔の職人が口にしていた「技を盗め(=見て覚えろ)」という方法です。ツールの使い方というよりは、「どのような表現を使いたいか」を見つけ、自分がやりたい編集手法を意識するための方法です。

ツールの使い方が分かっても、具体的な使い方が思いつかなければ編集スキルは向上していきません。使い方とやりたいことの両軸を嚙み合わせることで、より深いスキルアップができるのです。

オンラインサロンに入って学ぶのも有効

動画制作関連の有料オンラインサロンや、動画制作講座なども開催されています。そのような機会に申し込み、対価を支払って学ぶことも可能です。
オンラインサロンであれば、定期的にマガジンや情報などが届くため、一定の間隔で新しい知見を学び続けることができます。
自分が「良い編集だ」と思った映像に関連する方が主催している、または関係しているものを選ぶと良いでしょう。

 

動画編集に携わるためには?どのようなスキルが必要?

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個人でYouTubeを運用する

少しでもスキルアップしクオリティを上げたいと考えているなら、動画を公開してみましょう。個人でYouTubeを運営するのがもっとも手っ取り早いため、おすすめです。

投稿には、必ず再生数やコメントという形でフィードバックがあります。フィードバックをもとに改善できるため、一人だけで制作していては気づかなかったノウハウを得ることができます。

動画制作を行う企業で働く

動画制作会社に入社すれば、動画編集に関わる機会が訪れます。編集者の部下として付き、働きながら学ぶことも可能です。
ただし、業界未経験だったり映像制作の経験がなかったりすると、制作会社への就職そのものが難しい可能性があります。

そんなときには、
・ポテンシャル採用を行っている企業を狙う
・編集業務にも携われるADとして入社する(ADは動画編集者より求人条件が緩いことが多いため)
・前述の「個人YouTubeチャンネル運営」で経験を積む
上記のような方法も検討してみましょう。

実力があるならフリーランスの動画編者としての活躍も!

映像制作会社で経験を積んだら、独立してフリーランスの動画編集者になる方もいます。個人YouTubeの登録者が一気に増えた方は、制作会社での経験を経ることなく、いきなりフリーランスになる例も見られます。

組織によるサポートはありませんが、その一方で、契約金がそのまま収入になるため年収がアップする可能性があり、ある程度やりたい仕事を選べる、といった利点があります。
組織に所属しているときよりもさらに実力が重要になりますが、成功する人は大きな成功を掴める、という特徴があります。

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