【テレビ業界に転職】業界の課題と今後の展望から雇用状況を解説

この記事の監修者

志土地
志土地キャリアアドバイザー

番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。

華々しいイメージがあるテレビ業界を志望する人は、少なくありません。しかし、テレビ業界の採用は狭き門ともいわれており、転職に迷ってしまうこともあるでしょう。

実は現在、テレビ業界へ転職したい人にチャンスが広がっています。テレビ業界の状況を知れば、転職への一歩を踏み出せるかもしれません。

本記事では、テレビ業界の課題と今後の展望と主な仕事内容と求められるスキル、転職を考えるなら知っておきたい雇用状況・平均給与についてご紹介します。

テレビ業界とは

テレビ業界で働くことで、この仕事をやっていてよかったと感じられるのは、どういったことからでしょうか。ここでは、テレビ業界の役割と、仕事のやりがいについて解説します。

社会的影響力がある情報を発信する

テレビ業界が担う社会的な役割として、まず挙げられるのは、最新のニュースや社会の動向を発信することです。また、CMで購買意欲を高めたり、ドラマなどからトレンドを生み出すこともあります。政治や経済などあらゆる方面に、社会的な影響力がある情報を発信しています。

テレビ業界が発信した内容によっては、人の意識や行動を変える影響力を持つこともあります。これらが、まさしくテレビ業界で働くことのやりがいといえるでしょう。

生活に必要な情報から娯楽までさまざまな情報を発信する

生活や教養に関連した情報番組から、ドラマやバラエティー番組、地域性の高い番組などを発信するのもテレビ業界の役割です。あらゆる世代の人が一同に親しめるメディアは、テレビが唯一だといっても過言ではないでしょう。

テレビ業界では、番組の高い視聴率を狙って、楽しさや面白さなどを追求しながら番組を制作します。番組制作でのやりがいは、クリエイティブな仕事を通して、チームで情報を発信することにあります。

 

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テレビ業界の課題と今後の展望

視聴者が減少しているといわれているテレビ業界。就職や転職を希望している人には気になる現状なのではないでしょうか。そこで、テレビ業界が抱える課題と、今後の展望について解説します。

課題:若年層はテレビよりネット利用が多い

近年、テレビ離れが進んでいるといわれる中で、特に若年層のテレビ離れは顕著となっています。総務省の調査(※1)によると、10・20代のリアルタイムでのテレビ視聴は減少傾向にあります。一方で、インターネット利用は20代の利用率が最も高く、平均利用時間は10代が最も長くなりました。若年層はテレビよりネット利用が多いことがわかります。

しかし、全年代でみるとリアルタイムでのテレビ視聴時間がネット利用時間の約1.5倍になっており、スマホからの情報収集が盛んになっても、テレビの影響が大きいことを示す結果となりました。

※1:平成 30 年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査/総務省情報通信政策研究所/20 https://www.soumu.go.jp/main_content/000644168.pdf

展望:コンテンツ配信局を拡大させる

2019年度末時点で、放送を行っている地上テレビジョン放送事業者数は、127 社です(※2)。これまで、テレビ局は地上波放送にこだわって、リアルタイム視聴に誘導してきました。そのため録画しなければ、見逃した番組を観る方法がありませんでした。

しかし、「TVer」(民放5局で共同運営)をはじめとした広告付き無料配信サービスの登場によって、見逃したテレビ番組を観ることができるようになりました。

また、2019年に放送法が改正され、テレビ番組を放送と同時にインターネットで流せるようになりました。最近では、放送中の番組をインターネットで同時視聴できるサービスを開始したテレビ局も出てくるなど、ネット配信へ積極的に動き始めています。

コンテンツ配信局の拡大が期待できる状況から、テレビ業界では、経験者だけでなく業界未経験に向けた求人が見られるようになっています。テレビ業界の仕事に就きたい人にはチャンスが広がっているといってもよいでしょう。

※2:令和2年版情報通信白書/総務省

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/02honpen.pdf

【テレビ業界の職種】主な仕事内容と求められるスキル

テレビ業界の職種には、どのようなものがあるのでしょうか。テレビ業界といっても、一般企業と同じように総務、人事、経理、営業などの部署があります。ここでは、テレビ業界特有の代表的な職種と仕事内容、それぞれに求められるスキルを紹介します。

制作局:交渉力・管理能力

プロデューサー

制作全体の統括を担う総責任者です。主な仕事は、企画の立案・予算管理・スケジュール管理・番組のPRなど全体をまとめていくことです。

企画の提案や予算などにおいて、クライアントや自社の経営陣との交渉力が必要になります。なぜなら総責任者として、自社とクライアントが納得できるよう、交渉をまとめなくてはいけないためです。この他にも出演者との交渉も行います。

制作に携わるスタッフの選定と配置を見極めて、それぞれが働きやすいように整備しながら、納期までのスケジュールや予算を管理します。予定通り放送を終えるようにするための管理能力が求められます。

ディレクター

制作現場の責任者です。主な仕事は、プロデューサーからの指示のもと企画に沿って、脚本や演出、収録から編集までの進行管理をすることです。

ほとんどの場合、アシスタントディレクターが補佐役につきます。

さまざまな技術スタッフとチームで番組を作り上げていくので、円滑に進めていくためにも管理能力は必要です。企画の意図に沿って制作する過程で、技術スタッフへ指示を出したり調整したりすることが多く求められるので、交渉力も重要になります。

報道局:情報収集力・伝達能力

記者 

現場で取材したことを、テレビを通じて迅速に視聴者に届ける仕事です。スポーツ、政治、経済、報道など幅広い分野の取材をします。生中継になることが多く、現場でのリポートやインタビューを行うことも取材記者の特徴的な仕事です。

取材記者とは異なり、主にテレビ局内で仕事をする編集記者は、キャスターが読み上げる原稿を作成するのが主な仕事です。

取材記者も編集記者も、短時間に多くの情報を収集する能力が必要です。そして、正確にわかりやすく伝達する能力も求められます。扱う分野や、テーマに特化した知識や言葉の選び方など、高い表現力が重要になるといえます。

アナウンス局:コミュニケーション能力・判断力

アナウンサー

華やかなイメージがあるアナウンサーは、さまざまな番組で見かけます。番組の司会進行や原稿読み・ナレーションの他に中継現場でリポートすることもあり、言葉で情報を伝えることが仕事です。

原稿を正確に読む技術と聞き取りやすい発音、正しい日本語能力などが求められます。番組の司会進行では、出演者とのやりとりなどのトーク力といったコミュニケーション能力が重要になります。

生放送や中継では、イレギュラーな出来事に対応する判断力も必要です。緊急速報では、原稿が間に合わないことはよくあります。

映像を見ながら言葉で描写したり、視聴者に注意を促すよう伝えなければいけません。このように臨機応変に対応するためには、判断力が重要です。

技術局:専門的な知識・表現力

カメラマン

テレビ番組で放送する映像を撮影する仕事です。撮影する内容は、ドラマやドキュメンタリー、スポーツなどの実況中継、生放送などがあります。

また、スタジオでの収録やロケなど現場に出向いて、撮影期間も1日で終わるものから数ヶ月かかるものまでさまざまです。

撮影された映像が編集されるとしても、元々の映像のクオリティーが重視されますから、撮影に関する専門的な知識は必須であり、表現力も重要です。

求められている映像がどのようなものなのか、視聴者の視点で撮影することも表現力に必要といえるでしょう。

映像編集

カメラマンが撮影した映像の編集をする仕事です。テレビ番組の場合は、撮影してきた複数の映像を繋ぎ合わせて、決められた時間内に収まるように編集するものとVTRの作成があります。そして、繋ぎ合わせた映像や、VTRにテロップや効果音・BGM、モザイクなどを加えます。

ディレクターの指示に沿った映像編集を実現するための、専門的な知識と表現力が必要になります。また、映像編集に関する機材やソフトは常に新しくなるので、新しい知識や技術を学ぶ意欲も重要になるといえます。

 

気になるテレビ業界の雇用状況は?

テレビ業界で活躍したいからこそ、業界の経営状況や雇用状況について、気になる人も多いのではないでしょうか。テレビ業界は放送利権がある限り、他業界からの新規事業は参入できないので、まだまだ安心という見方もあります。

そこで、テレビ業界の経営状況と雇用状況について解説します。

テレビ業界の経営状況

2019年度末時点で民放テレビ局の数は、地上波127社を含めて574社です(※1)。テレビ業界の売上高は、2018年より2.1%下回ったものの3兆9,418億円となり、2009年から少しずつ増加傾向にあります。また、営業利益は2015年から減少しているものの、黒字を確保しています(※3)。

しかし、2020年4~9月期の連結決算は、民放キー局4社のうちテレビ東京を除く3社が赤字となりました(※4)。新型コロナウイルス感染の影響で、地上波広告やイベント関連の収入が落ち込んだとみられています。

令和2年版情報通信白書/総務省

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/02honpen.pdf

※1:図表 5-1-8-5、※2:図表5-1-8-1、※3:図表5-1-8-4

※4:日本経済新聞 2020.11.05

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65896040V01C20A1DTD000

テレビ業界の雇用状況

2018年まで通信・放送業全体の雇用が減っている中で、テレビ業界の雇用状況は、正社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用ともに増加しています(※5)。非正規雇用が正社員数の2割を超える結果となっています。

※5:経産省/通信業基本調査結果/令和2年

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/joho/result-2/r01/2019kakugaiyo.pdf

2020年7月の有効求人倍率は1.61倍といわれる中で、求人が出せるテレビ業界は、企業体力があり、将来性が見込めるともいえます。転職したいと考えている人は、ぜひ前向きに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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