【M&Aをわかりやすく徹底解説】その種類・方法〜買い手・売り手にとってのメリット・理由について

 

いざM&Aについて概要を知りたいと考えても、専門的な内容の記事が多く、理解できないままでいる方は多いのではないでしょうか。

M&Aは、意外と単純な仕組みで成り立っていますので、そう大仰に構える必要はありません。また、売り手にとっても買い手にとっても、重要な経営戦略の一つとなりますので抑えておきましょう。

本記事ではM&Aとは何か、M&Aの代表的種類、M&Aを行う理由・メリットについてわかりやすく解説します。

経営を加速させるM&Aとは?

M&Aとは、「Merger(合併)」と「Acquisition(買収)」の略称です。つまりM&Aとは、企業間で行われる買収や合併を指します。また、事業提携のみの場合も、M&Aの1つとして考えられる場合もあります。

「会社を買収される」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方もいるでしょう。ですが、M&Aは決してネガティブな手法ではありません。むしろ、M&Aを最終ゴールとして経営を行う経営者も多くいます。

連続起業家(シリアルアントレプレナー)と呼ばれる人たちは、まさに事業の売却を目的に、起業を繰り返しています。

M&Aを行うことは、買い手だけでなく、売り手にも多くのメリットがあるのです。日本でもM&Aは、盛んに行われています。年々、M&Aの件数は増えているのです。

経済産業省の資料によると、M&Aの件数は2011年の段階では1,687件だったのに対し、2017年は3,050件と倍近くにもなっています。

参考:経済産業省/第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

しかも、これはあくまで、公表されている件数のみです。実際はもっと多いと推測されます。こういったデータからも、M&Aが会社経営にとって、重要な位置をしめていることがわかります。

また、昨今ではエンタメ業界においても、大手企業のM&Aが多く話題となっています。たとえば、アニメ・漫画関連では、ソニーが子ども向けアニメ制作会社の米シルバーゲート・メディアを買収したり、朝日放送グループホールディングスがアニメ制作会社のディー・エル・イーを子会社化したり、といったことがありました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出自粛を余儀なくされるなど、人々の生活様式が大きく変わる中、エンタメ分野においても変革が求められています。そんな中、エンタメ企業を買収し、新規事業開拓に取り組む企業の動きが目立ってきています。 

【まず知っておきたい】M&Aの代表的種類について

一口にM&Aといっても、様々な種類があります。M&Aの代表的な種類は、次の4つです。

①株式譲渡
②事業譲渡
③分割
④合併

1つ1つのM&Aの種類について、詳しく解説しましょう。

①株式譲渡

株式譲渡とは、会社を売る側が会社を譲渡する手法のことです。M&Aと聞いて、多くの人がこの手法を思い浮かべると思われます。売り手は持っている株式の全てを譲渡し、買い手は買収金を売り手に支払います。

株式は3分の2以上を持つと、会社の重要事項を決める権利を持てるのです。そのため、株式の多くを譲渡すれば、会社売却が可能となります。このように、会社の譲渡する手法を「株式譲渡」と呼ぶのです。

直近の例を挙げると、2021年4月に、KLabがグローバルギアの全株式を取得しました。KLabはゲーム事業、グローバルギアはモバイルアプリ事業を行っていました。現在グローバルギアはKLabの子会社として、ゲームアプリなどを開発しています。

②事業譲渡

事業譲渡とは、会社全体ではなく、会社の一部事業のみを買収する手法です。買い手企業が、自社に必要な事業のみを選択して買収します。株式譲渡に比べ、規模が小さいM&Aと言えるでしょう。

事業譲渡の場合、請け負いたい事業のみ選択できるメリットがあります。
上手くいっていない事業まで、請け負わなくて良いのです。このように、会社の事業のみを売り買いすることを「事業譲渡」と呼びます。

こちらも直近の例としては、2021年5月に、アイティメディアはRPA BANKの「RPA BANK」事業の譲り受けを決議しました。アイティメディアはインターネット・メディア事業を展開している会社であり、「RPA BANK」はAIなどの情報を発信する会員制メディアです。

③分割

分割とは、事業を行う権利および義務を、買い手企業に継承させることです。事業を買収する訳ではないため、買収金が一切かからないのが特徴でしょう。

事業の全部を継承させることもあれば、一部のみの場合もあります。分割には大きく分けて、新設分割と吸収分割の2種類があります。新設分割とは新しく会社を設立しその会社に継承させることで、吸収分割はすでにある会社に継承させることです。

このように、事業運営の権利、義務を継承させることを「分割」と呼びます。

たとえば、2020年7月に、ソフトバンクはアニメ専門コンテンツ配信サービスの「アニメ放題」をU-NEXTに移管しました。「アニメ放題」のサービスはU-NEXTが受け継ぐ形となりました。

④合併

合併とは、2つの企業が統合することを言います。合併も買収とは違うため、買収金がかかることはありません。合併には、新設合併と吸収合併の2種類があります。

新設合併とは新しく会社を設立しその会社に統合することで、吸収合併はすでにある会社に統合することです。このように、2つの企業が統合することを「合併」と呼びます。

たとえば、2016年7月に、TYOとAOI Proは共同持株会社を設立し、経営統合を行いました。TYOとAOI Proは共にTVCM制作業界であり、合併することで中長期的な成長を目指していくとのことです。

売り手企業側がM&Aを行う理由・メリット

売り手企業側がM&Aを行う理由・メリットは次の3つです。

①資金が得られる
②事業を継いでもらえる
③従業員を雇ってもらえる

会社を買収される、と聞くとネガティブな印象を持つ方もいます。しかし、こういったメリットもあるため、決して買収はネガティブなことではありません。

1つ1つの、売り手企業側がM&Aを行う理由・メリットを解説していきます。

①資金が得られる

会社を売ることで買収金が得られるのが、最もわかりやすいメリットでしょう。資金が得られれば、また別の事業を始めることもできます。

また、経営者の老後の資金に企てることも可能です。会社を売って買収金を得ることを何度も繰り返し、大金を得ていく人もいます。
M&Aにより資金が得られるメリットは大きいです。

②事業を継いでもらえる

会社を売ることで、事業を継いでもらえるのもメリットです。育て上げた事業を潰さなくて済みます。資金力のある大手企業に事業を継いでもらえば、自分では限界だった範囲以上に、事業を拡大してくれるかもしれません。

また、会社を廃業する場合、様々な廃業コストがかかります。M&Aを行えば、廃業コストがかからなく済む利点もあるのです。事業を継いでもらえるのも、経営者にとって大きなメリットでしょう。

③従業員を雇ってもらえる

買い手企業に、従業員を雇ってもらえるのもメリットです。M&Aを行うことで、経営者としての責任を果たせます。従業員は、買収前と同じ仕事を継続することが可能です。これまで培ってきたスキルをそのまま活かせます。

最終的にM&Aを行うからこそ、従業員が安心して働き続けられると言えるでしょう。

買い手企業側がM&Aを行う理由・メリット

つづいて、買い手企業側がM&Aを行う理由・メリットを解説します。理由・メリットは次の3つです。

①新規事業を始められる
②人材を確保できる
③売り手企業のノウハウを獲得できる

こういったメリットもあるため、買収金を支払ってでも、会社を買いたいと思うのです。1つ1つの、買い手企業側がM&Aを行う理由・メリットについて、詳しく解説します。

①新規事業を始められる

会社を買収することで、新規事業に挑戦ができます。会社の事業幅が広がれば、売上を伸ばすことに繋がるでしょう。

ゼロから新規事業を始めるのは、莫大な資金を必要とする上に、必ず成功するとは限りません。M&Aを行う場合は、すでに成長した事業を引き継ぐため、初期コストがかからない上に、その後安定して伸ばしていくことが可能です。

新規事業を始められるのは、M&Aの大きなメリットと言えます。

②人材を確保できる

M&Aを行うことで、人材を確保できるメリットもあります。買収する会社で働く従業員を、自社の従業員とすることが可能です。事業拡大にあたって、本来かかるはずの採用コストがかかりません。

また、従業員は必要なスキルをすでに身につけているため、研修コストも削減することが可能です。会社経営の上で人材確保は重大な問題ですが、M&Aを視野に入れることで、人材確保問題も解決する場合があります。

特に、ライバーやVTuberのような最近の登場してきた成長産業は経験者が少ないので、経験者の採用コストや採用の手間を大幅に削減することができるでしょう。

③売り手企業のノウハウを獲得できる

最後のメリットは、売り手企業のノウハウを獲得できることです。サービスの開発手法や、マーケティング手法など、ベンチャー企業の斬新で新しいノウハウを吸収することができます。

ノウハウを獲得することで、買収した事業を継続して伸ばせるだけでなく、他の事業にも良い影響を与えることもあるでしょう。
買収した会社のスキルやノウハウを獲得できるのも、大きなメリットです。

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本記事では、M&Aとは何かについて解説しました。M&Aの定義や種類、M&Aを行う理由・メリットがお分かりいただけたかと思います。

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