イベント業界の転職事情|中途採用で内定獲得するコツやスキルをご紹介
この記事の監修者
番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。
目次
イベント業界は大きな転換期にある
イベント業界を目指すにあたって、真っ先に知っておくべき点があります。
それは、新型コロナウイルスの流行による影響を受け、イベント業界は大きな転換期を迎えているという点です。
リアルな会場に人々が大勢集まる、という三密回避が難しい状況のため、一時期はイベントそのものが軒並み中止となっていました。
そして、これまでと同じようなイベント開催はできなくなっていると考えて良いでしょう。
どう変わっていくのか、具体的なポイントを挙げて解説します。
感染対策が必須に
アルコール消毒や体温計の設置は当然ながら、入場人数の規制や定期的な会場の換気など、これまで行っていなかった感染対策を取り入れることが必須となります。
これまでであれば、個人情報の取得には情報漏洩リスクが伴うため、あえて取得していなかったというケースもあったでしょう。ですが現在では、感染者が発生した場合に備えて、参加者の個人情報を取得し保管しておくことは半ば義務化しています。
感染者が発生してしまった場合の対応策を事前に決めておく必要もあるでしょうし、開催そのものが中止となる原因に「感染関連」という項目が増えています。リスクヘッジにかかるコストも増えています。
このように、費用やリスク管理の面で、これまでかかっていなかったコストが余分にかかるようになりました。
オンラインとの同時開催やバーチャルのみの開催も
イベントのストリーム配信などを駆使し、オンラインとの同時開催が行われるケースも増えています。VR空間を利用し、完全にバーチャル空間だけでイベントが実施されたケースすらもあります。
当初は、入場人数制限への対応やリアルの場に集まることを忌避する層を取り込むための施策でした。
ですが、思わぬポジティブな効果も生んでいます。
それは、イベントに足を運ぶことが難しかった、地方在住者などにも参加してもらえるようになった点です。
イベントの目的にもよりますが、オンライン開催と併用することで、これまで以上の効果を生み出すことが可能となりました。
なぜリアルの場でやるかに意味をもたせる必要がある
会社によっては、およそ2年間に渡ってイベント開催や参加が自粛されていました。
そしてオンライン開催でもある程度の代替ができることが分かりました。
これらの経験を通じて、リアルな場で関係者や商品と出会うことの必要性を疑問視する層が生まれました。すなわち、リアルな場でイベントを行わなくても、意外となんとかなると感じている人が増えたのです。
そういった層を再び呼び戻すためには、「なぜリアルの場でやるのか」という点について、しっかりとした意味をもたせる必要があります。
例えば、体験そのものが重要となる「実物が目の前にあることが重要なイベント」や「飲食が中心のイベント」などは、リアルの場を提供する意義を伝えやすいでしょう。
【仕事内容について】イベント業界での転職を目指す前に
ここまでは、イベント業界の現在についてお伝えしてきました。
ここからは、イベント業界への転職を目指す際に、知っておきたいポイントを解説していきます。
まずはどのような仕事があるのかを確認しておきましょう。
1.企画
「企画」は、イベントの骨子を決める仕事です。
依頼者からイベントで達成したいことをヒアリングし、確定していく。または、自社が主催であるなら、自分たちがこのイベントを通して何を成せば良いのか、何を達成したいのかを決めていく仕事です。
イベントのコンセプトを決め、それによって「どんなイベントにするか」を決定する重要な仕事でもあります。
例えば、以下のような内容です。
・地元を盛り上げるような音楽祭にしたい。地元出身のミュージシャンに積極的にオファーしよう。
・アーティストにもっと表現する機会を提供したい。オリジナル作品であれば無審査で出展OKにしよう。
企画が固まることで、必要な予算も策定でき、集客のためのマーケティング戦略なども決めることができるようになります。
また、この時点でイベント規模が決まっているなら、運営の人員確保まで行うこともあります。
2.制作
「企画」が定めたコンセプトに沿って、イベントを実際に制作する仕事です。
当然ではありますが、イベントは当日の運営だけででき上がっているものではありません。当日までには綿密な準備が必要となります。
そういった、イベントに関する演出、デザイン制作、スケジュール調整などを行うのが制作です。
必要に応じて、各種のスペシャリストや備品(照明、撮影機材、配信、その他演出に必要な機材など)の手配を行います。そういった制作関連のスタッフだけでなく、当日の運営スタッフの確保も、制作陣が行う場合もあります。
3.運営
「企画」と「制作」で固めたイベント内容を、実際に会場で運営する仕事です。
イベント当日の会場運営を担当しています。
実際のイベントを運営しているのは「運営」を担う人たちですが、機材の運搬や参加者の誘導など現場的な業務が多く、「イベントの制作をしている」という印象ではないでしょう。
イベントの雰囲気やコンセプトを決めるというよりは、現場でイベント参加者たちと直接関わる、という仕事です。
イベントの仕事ができる職種
ここまでは、イベント業界の仕事について解説してきました。では、これらの仕事を担う職種についても確認していきましょう。
1.イベントプロデューサー
「企画」を主に担当します。
イベントのコンセプトや方針に対して大きな決定権をもっており、イベントの成功に対する責任を負っています。
自社が主催者であるならば、イベント全体の決定権を握っていると言っても過言ではありません。イベントが依頼されたものであるなら、クライアントと調整しながらイベントの方針を決めていきます。
また、決められたイベント内容に従って、予算獲得、人員獲得、物資・機材手配なども行います。
2.イベントディレクター
主な担当は「制作」ですが、「企画」にも「運営」にも関わっています。
決められた企画と用意された予算や人員を使い、イベントの制作を行っていきます。
各所の進捗管理や計画、スケジュール管理や調整を行います。
当日の「運営」においても、「制作」サイドとして指示を出し、運営現場の統括を行います。これらを行うためにはイベント全体について知っておいたほうが便利であるため、「企画」にも入り込んでいることがあるのです。
あまりにも業務内容が多岐にわたり多忙であるため、ディレクターを補佐するアシスタントディレクターが設けられていることもあります。
3.イベントスタッフ
主に「運営」を担当しています。
具体的なイベント内容を知っている必要があるため、イベントスタッフのうちチーフなどの責任をもった役職者の何名かは「制作」の段階から関わっている場合もあります。
イベント当日のみ膨大な人数のスタッフが必要となるため、多くのイベントスタッフは臨時で雇われるアルバイトや短期契約の派遣社員でカバーされることが多いでしょう。
イベントの仕事ができる業種・企業
フリーランスでプロデューサーやディレクターを開業しており、イベント開催ごとに契約するという方法もないわけではありません。ですがそれは、誰もができる働き方というわけではないでしょう。
イベント業界で仕事をしたいなら、基本的にはイベントに関連した会社へ就職することになるでしょう。
ここでは、それら業種・企業について解説していきます。
イベント制作会社
イベント業界で働きたいなら、まずはイベント制作会社へ就職することが第一候補となるのではないでしょうか。
イベントを実施したい企業から依頼を受け、企画の段階から入り込む場合がほとんどです。その後も、制作、運営と実施を担います。
イベント制作会社にも得意な分野やジャンルがあります。IT系のイベントが得意という場合もあれば、アート系が得意という場合もあります。
イベントの種別も大規模イベントやフェス、展示会から、会社説明会や社内向けの総会までさまざまで、それぞれのイベント制作会社が得意としている種別も異なっています。
自分が特に関わりたいと思うイベントをもとに、それを得意としているイベント制作会社を探すのも手段の一つです。
イベント制作会社に就職できたとき、業界未経験であるなら、アシスタントディレクターやイベントスタッフからキャリアを重ねていくことになるでしょう。
なお、過去に管理職の経験があるなら、適正を見ながら早い段階でイベントプロデューサーを担うことができる可能性もあります。
事業会社のイベントチーム
事業会社のなかには、自社内にイベントチームを抱えている会社もあります。その場合でも、イベントに関わることができるといえるでしょう。
事業会社で関わる場合は、コンセプトが概ね決まっているケースが多くなります。加えて、イベント制作会社と比べた際にそれほど多様なイベントに関わることが難しい点も注意が必要です。
これらは、企画されるイベントが自社の事業に関わるイベントが主軸になることに起因しています。
また、それほど規模が大きくない会社である場合、イベントチーム専任であることは難しく、別の業務を担当しつつイベントチームとしての業務を行う、ということもあります。
イベント制作請負など
イベント運営でスタッフが大量に必要になる、というのは前述のとおりです。その際の追加要員としてメンバーを提供する、イベント制作請負という仕事もあります。
場合によっては、イベント制作の段階からイベント制作会社に協力することもあります。
イベント制作会社から依頼されることが多いものですが、小規模なイベントの場合、企画と制作の一部は事業会社が行い、足りないメンバーをイベント制作請負に依頼する、というケースでも利用されます。
こういった企業でも、イベントに関わることはできるでしょう。
こちらの場合、制作の一部に関わることはありますが、特にイベント設営や当日運営に関わる機会が多くなるでしょう。
そのため、企画の根幹に関わりたいという人よりは、実際のイベント運営現場で活躍したい、イベントの雰囲気を楽しみたい、という方に向いているといえます。
イベント業界で求められるスキル
イベント業界では、もっていると活躍できる可能性が高いスキルがあります。
スキル内容と具体的な活用例をご紹介していきます。
スケジュール管理能力
「企画」「制作」「運営」でそれぞれ必要になる必須スキルがスケジュール管理能力です。
「企画」では、イベントをプロジェクトとして成功させるために、全体スケジュールの策定を行う際に役立ちます。
もっとも重要視されるのが「制作」におけるスケジュール管理です。制作スケジュールとイベント運営のスケジュール、両方をうまく管理する必要があるためです。
「運営」においては、イベント当日のプログラム進行で必要になります。
コミュニケーション能力と折衝力
こちらも、どの仕事でも必要となるスキルです。
「企画」では、クライアントから依頼されてイベントを立ち上げるのであれば、要件のヒアリングやすり合わせで活用することになります。自社で主催する場合であっても、ステークホルダーをまとめ上げ、各所の必要要件を押さえておかなければならないため、必要なスキルです。
「制作」は、多くの制作スタッフはもちろん、「企画」や「運営」のスタッフとも関わります。関わるメンバーが非常に多い仕事であるため、コミュニケーション能力と各所を調整する折衝力は必須です。
「運営」は、イベント当日に膨大な人数のイベントスタッフと関わることになります。彼らとコミュニケーションはもちろんのこと、一般参加者たちともコミュニケーションを行う必要があります。「企画」や「制作」とはまた少し異なった、適切な指示を出す、お願いしてやってもらう、といったタイプのコミュニケーション能力が求められます。
企画力
主に「企画」と「制作」に求められるスキルです。
「企画」においては、ステークホルダーたちを納得させつつ参加者も満足させるにはどうすればいいか、どうやったら求められた要件を満たすイベントを立案できるのか、といった場面で使います。
「企画」はイベントのコンセプトや骨子を決めていきますが、詳細なプログラムや実際の作業内容などは「制作」が行います。「制作」は、より緻密な想定を元にして、細かく企画を詰めていくために企画力が必要になるのです。
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