電子書籍市場の現状とは? 最近話題のWEBTOONなど今後の展開予測についてご紹介

電子書籍市場を知るための基礎知識

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電子書籍とは

電子機器を使って閲覧できる書籍のことを、電子書籍と呼びます。スマートフォン、タブレット、PCや、専用の閲覧ツールなどのデバイスを用いて閲覧します。

クラウド上にデータが置いてあり、その都度ネットを経由してデータにアクセスして読むタイプの電子書籍もあれば、ダウンロードしてネット接続なしで読めるタイプの電子書籍もあります。

閲覧に使用する専用デバイスとしては、電子書籍販売の大手であるKindleストアと連携している「Amazon Kindle」などが有名です。これらの電子書籍専用端末は「電子ペーパー」と呼ばれる表示技術を使っていることが多く、スマートフォンやタブレットに比べて、より紙媒体に近い感覚で読むことができます。

電子書籍は、電子ペーパーを使ったデバイスが安価になったことや、スマートフォンが普及したことなどを契機に、2010年ころを境に一般的に大きく浸透してきました。

また最近ではWebtoonと呼ばれる、タテ読みスタイルのWebマンガ形態も増えてきています。

人気作品である『外見至上主義』『梨泰院クラス(イテウォン クラス)』『女神降臨』など実写化されたWebマンガでもこの手法が取り入れられており、NAVERトップ20のWebtoon作家の平均年収は17億5000万ウォン(約1.6億円)にも上ると言われています。

電子書籍がもつメリットとデメリット

なぜ、電子書籍は急速に広まったのでしょうか。それを理解するうえで欠かせないのが、紙媒体との比較です。
電子書籍と紙媒体を比べたときの、電子書籍がもつメリットとデメリットを理解しておきましょう。

電子書籍のメリット

・電子データのため、物理的な保管場所をとらない。
・ストア内から商品検索できるため、探している本を見つけやすい。
・店舗の営業時間に関係なく、いつでも購入できる。
・連携すれば複数の端末で閲覧でき、場所に囚われずに書籍を読める。
・クーポン利用などで、安く購入できることがある。

紙媒体と比べたとき、電子書籍には上記のような利点が挙げられます。

特に電子書籍は、マンガを読むために利用している人が多いという調査もあります。長編作品のコミックス全巻を何作品もそろえようとすると、購入金額が問題となる以上に、保管場所の問題で断念してしまう方も多いのではないでしょうか。
ですが電子書籍であれば、端末の保管場所以外、物理的な保管場所は必要ありません。

このように電子書籍のメリットの多くは、電子データであることに起因するものが中心となっています。

電子書籍のデメリット

・運営会社の破綻や撤退などで、購入した本を読めなくなることがある。
・電子化されていない書籍も多い。
・物理的な所有欲を満たせない。
・中古販売や中古購入、貸し借りができない。

一方で、電子書籍には上記のようなデメリットも存在しています。
特に、お金を支払って購入したはずの電子書籍が、運営会社の破綻やサービスからの撤退などの影響で読めなくなってしまう、という点は致命的です。
サービス撤退や新サービスへの移行、企業買収やサービス一本化などの影響から、購入した書籍が読めなくなるという“炎上事件”も幾度か発生しています。

ただし現在では市場が安定してきたため、かつてのようにサービス閉鎖そのものが起こりにくくなってきています。加えて、サービス閉鎖の影響も少なくできるような体制がとられていることがほとんどです。

電子と紙を使い分ける人が増えたことも発展に寄与

当初は、本好きであるほど紙の本にこだわり、電子書籍は利用しないのではないか、との予測もされていましたが、そのようなことはありませんでした。
本好きたちこそ、電子書籍のメリット・デメリットを適切に理解し、電子書籍と紙媒体の使い分けを行っています。

例えば、読書体験そのものや情報を得ることに価値があるタイプの本は電子書籍で購入し、思い入れのある本や豪華なハードカバーは紙の書籍を購入する、といった具合です。

書籍の購入に対してお金を使う層に電子書籍が浸透したことは、市場拡大に大きく寄与しています。

 

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電子書籍市場の現在とは?

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電子書籍市場は毎年成長を続けている

株式会社インプレスが発行する「電子書籍ビジネス調査報告書」によると、2019年度の電子書籍の市場規模は3473億円程度で、これは前年比22.9%増とのことです。
電子書籍が浸透し始めた2011年頃から毎年市場規模は成長を続けており、2024年には電子雑誌・電子書籍を合わせて5669億円の市場規模になると予測されています。

電子書籍市場は現在も成長を続けており、しばらく成長が続く見通しである、と理解しておきましょう。

コミックジャンルが特に著しく成長している

前述の調査によると、2019年度の電子書籍市場のうち、電子コミックの市場規模は2989億円とのことです。電子書籍の市場シェア86%以上と、圧倒的な割合を誇っています。

実は、コミックジャンルのシェアが大きいことには理由があります。

一時期、海賊版の違法マンガサイトが乱立していた時期がありました。それらが一掃されるタイミングで、無料でも一定の範囲で利用できる電子コミックサービスがいくつか登場し、受け皿となったという過去があります。

また前述のように、コミックスを全巻そろえることも容易であり、さらには最新話を読みたくなった際に店舗に出向かなくてもいいなど、マンガを読む層のニーズに電子書籍はマッチしていたのです。

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有名な電子書籍サービスを紹介

前述の調査によれば、電子書籍利用者へのアンケートの結果、各サービスの利用率上位は以下の順となっています。

1位:Kindleストア 26.2%
2位:LINEマンガ 25.0%
3位:ピッコマ 15.1%

それ以降は、少年ジャンプ+、楽天Kobo電子書籍ストア、マンガワン、pixivコミック、comico、コミックシーモア、マンガBANG!、と続いていきます。

電子書籍のパイオニア的存在であるKindleストア以下は、そのほとんどがコミック系の電子書籍が占めているのが現状です。

Webtoon(ウェブトゥーン)とは

WEBTOONの特徴

WEBTOONとは韓国発のタテ読みスタイルのWebマンガ形態を指します。
グローバルで急速に伸びているコミックフォーマットで、2020年時点で全世界7000億円規模まで拡大しています。

日本の漫画のように横にスライドさせて読むのではなく、スマホのディスプレイを縦スライドさせて読み進めていくのが大きな特徴です。

スマホのディスプレイで読むことを前提としているため、カラーの作品が多く、作品内にアニメーションや音楽が組み込まれることもあります。

また、オンライン上で公開から購入まで完結できるため、事前に翻訳すればリリース直後に世界同時配信も可能です。

WEBTOON作りに求められるスキル

WEBTOON作品作りにおいて、求められるスキルは構成力と表現力です。

WEBTOONでは、コマ割りに特徴があり、スマホのディスプレイに収まるように、縦方向にひとコマずつ配置していくため、表現の自由度が高いという特徴があります。

また、スマホで読まれることを前提としているため、読み手も「じっくり読む」というよりは「眺める」というスタンスなので、一話一話の長さが短く、サッと一話を隙間時間で読めるような長さの構成が好まれる傾向にあります。

文字の量を減らして、イラストの分かりやすさを重視するなど、とにかく最小限の情報で読みやすくしていくのが構成力が求められます。

一方、構成に乗せる表現も紙の漫画とは異なります。

読者の目の流れが縦スクロールになるため、スマホで見た際の行間の取り方や絵と文字のバランスなど、

WEBTOON関連の仕事は、経験者がまだ市場に少ないため未経験採用を進める企業が多く、出版・アニメ・漫画に関わりたいのであれば今がおすすめです。

 

今後の電子書籍市場の予測

家時間の増加が追い風に

2019年から、コロナ禍によって家で過ごす時間が増えたといわれています。

家にいる時間を有意義に過ごすため、特にコミックスを中心に電子書籍の購入が増加しました。
最新の書籍や大量の書籍をすぐに手に入れたいというニーズや、外出せずに娯楽作品を手に入れたいというニーズと合致していた点も、需要拡大に追い風となっています。

この傾向はしばらく続き、市場拡大へ良い影響を与えると考えられています。

将来的にはさらに発展すると考えられる

現在、電子書籍は若い世代が多く利用する傾向があり、40代、50代、60代以降はだんだんと利用者が少なくなっています。デジタルネイティブである若い世代ほど、違和感なく電子書籍を活用しているようです。

このまま10代~30代が利用率を保ったまま年代を推移していき、新世代も電子書籍を利用していくことによって、さらに利用者は増えると考えられています。

年齢別の利用率をもとに予測した場合でも、これから数十年は電子書籍市場は成長していくと考えられているのです。

無料利用者をいかに有料利用者にするかが課題

現状は多くの世代において、電子書籍の利用者のおよそ半数が無料での利用となっています。

年代別に見ると、経済力をそれほどもたない10代が特に無料利用者が多い傾向にあります。その後20代以降で有料利用者が増えますが、有料利用の割合は年代が上がってもそれほど上昇しません。
個人の経済力が大きくなったとしても、それほど有料利用につながっていない、という点が現在の電子書籍市場の課題ともなっています。

ただし、2019年の有料利用者よりも2020年の有料利用者は多くの年代で微増しています。この流れが続いていけば、この課題はいずれ解決する可能性もあります。

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