サウンドエンジニアとは?仕事内容からキャリアパスまで詳しく解説
この記事の監修者
番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。
目次
録音機材を操作するサウンドエンジニアとは?
サウンドエンジニアとは、レコーディングエンジニアとも呼ばれ、音楽を録音する過程において、ボーカル、コーラス、楽器など各パートの演奏のバランスを考えながら、録音機材を操作して、1つの楽曲としてまとめ上げる音響技術者です。
具体的には、ディレクターやミュージシャンがイメージする音をいち早く察知して、楽器ごとに最適な音質や音量で録音し、ミキシングによってバランスを整え、音圧を調整して最終的にマスターテープに仕上げるまでが仕事となります。
レコーディングスタジオや音楽制作会社の正社員か、実績を上げてフリーランスとして働くサウンドエンジニアが多いでしょう。
サウンドエンジニアの仕事内容とは?
サウンドエンジニアの仕事内容を、音楽制作の流れに沿って3段階に分けてご紹介します。
レコーディング
レコーディングにおいては、全ての演奏者が一同に会して演奏した楽曲を録音していると思われがちですが、そのようなことはなく、ボーカルやコーラス、楽器の音を1つ1つ録音していくのが一般的な手法です。
そのため、サウンドエンジニアはレコーディング時にまず、そのパートの録音に合ったマイクなどの機材をセッティングします。
その後、ミキサーへ入力される音質や音量を調整しながら決めていき、演奏者の準備が整ったらテスト録音後、マルチトラックレコーダー(複数のパートの音を録音・再生できる機械)への録音を開始して、音源を完成させるのです。
場合によっては、何度も録音をし直したり、良い演奏の一部分を切り取って繋ぎ合わせたりする作業が、必要となるのでとても手間や時間がかかります。
しかし、演奏者やディレクター、サウンドエンジニアは、より良い音を作り出したいという目標が一緒なので、納得いくまでレコーディングを繰り返すことになります。
ミキシング
ミキシングとは、各パートごとに録音された音を1つの楽曲として編集し、組み合わせる作業を指します。
音をどの方向から鳴らすか、楽器ごとの音のボリュームはどのくらいにすればよいか、どのような音質にするかなどを考えながら、楽曲全体のバランスを整えていくのです。
最終的にステレオの2チャンネルか、マルチチャンネルに編集してまとめるため、ミックスダウンとも呼ばれます。
納期までに時間がない場合、レコーディング後すぐにミキシングに取り掛かる場合もあります。
企業によっては、サウンドエンジニアではなく「ミキシングエンジニア」という、専門の人が担当する場合もあるでしょう。
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マスタリング
音楽制作の最終工程で、どのような媒体で音楽を聴いても最適に再生できるようにすることです。
音圧・音量を調整し、他の曲や無音部分とのバランスも整えることで、リスナーが不自然に感じないように調整・編集していくのです。
最終的な曲の完成度に影響を及ぼすため、企業によっては「マスタリングエンジニア」という、専門の人が担当する場合もあるでしょう。
サウンドエンジニアに求められるスキルについて
サウンドエンジニアに求められるスキルを3つご紹介します。
音楽・機材の知識
サウンドエンジニアに求められるスキルの1つ目は、音楽・機材の知識です。
まず音楽知識は、楽典や音楽理論を幅広く身に着けておく必要があります。
これは、ディレクターやミュージシャンが、伝えてくる曖昧なイメージを音として具現化する必要があるためで、短時間で身に付くものではありませんが、常に意識して勉強を続けることが大切です。
また機材についてですが、マイクやミキサー、楽器のエフェクターやアンプ、スピーカーなどの音響機器について、一通りの接続方法、操作方法を覚える必要があります。
メーカーから常に新しい機器が開発・販売されるため対応していくのは大変ですが、よく使用されるものからで良いので知識を蓄えていきましょう。
楽器の奏法の知識
サウンドエンジニアに求められるスキルの2つ目は、楽器の奏法の知識です。
例えば、「ベースのスラップの部分」「ボーカルのファルセット」といった言葉が全くわからないのでは、録音をスムーズに進めることが難しくなります。
奏法に応じて、どのように音が変わるのかに着目すると覚えやすいでしょう。
コミュニケーション能力
サウンドエンジニアに求められるスキルの3つ目は、コミュニケーション能力です。
サウンドエンジニアは同じ音源制作を目的としながら、プロデューサー、ディレクター、ミュージシャンなど、たくさんの立場が異なるスタッフと協力して仕事を行わなければなりません。
一人一人の持つアイデアを汲み上げ、より良い音源を制作するためには高いコミュニケーション能力が不可欠と言えるでしょう。
サウンドエンジニアへの転職に有利な資格とは?
サウンドエンジニアは、異業種からの転職は難しい職種だと言えるでしょう。
なぜなら、サウンドエンジニアとして一人前になるには時間がかかるため、雇用するレコーディングスタジオや音楽制作会社は、転職者より若手の人材をアシスタントから育成した方が良いという考えがあるためです。
しかし、全く中途採用を行わないというわけではないため、転職を志すなら、資格を取得してアピールするのも良いでしょう。
サウンドエンジニアへの転職時に有利になる資格を2つご紹介します。
ProTools技術認定試験
ProTools技術認定試験は、一般社団法人日本音楽スタジオ協会が主催し、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーションの略称で、デジタルで音声の録音・編集・ミキシング・編曲などの、一連の作業ができるように構成された一体型のシステムを指す)の標準機となっている、アビットテクノロジー社のProToolsに対応できる技術者を育成することを目的として、行われている資格試験です。
その年度において、広く採用されているバージョンを対象に実施されるため、自分の最新の録音技術を証明できる資格だと言えるでしょう。
参考:一般社団法人日本音楽スタジオ協会「ProTools技術認定試験」
サウンドレコーディング技術認定試験
サウンドレコーディング技術認定試験は、一般社団法人日本音楽スタジオ協会が主催し、音響の理論、電気音響とスタジオシステム、レコーディング技術と先進技術、音楽・音楽著作権・音楽録音の流れ、録音の歴史などを試験範囲として、実施される資格試験です。
サウンドエンジニアとして欠かせない音響理論や、機材の知識についてのレベルがわかるため、転職するなら取得しておくのもよいでしょう。
参考:一般社団法人日本音楽スタジオ協会「サウンドレコーディング技術認定試験」
サウンドエンジニアのキャリアパスについて
音楽業界はCD不況が叫ばれ、一般社団法人日本レコード協会が発表しているCD売上の年次合計を見てみても、2012年に215,169,000枚だったのをピークに2020年には約半分の103,931,000枚までに落ち込んでいます。
しかし、このような中でもインターネットを用いた音楽配信などは好調なため、サウンドエンジニアへの需要が尽きることはないでしょう。
サウンドエンジニアの将来性を踏まえて、キャリアパスについて考えてみましょう。
参考:一般社団法人日本レコード協会「生産実績 過去10年間 オーディオレコード CD合計」
アシスタントエンジニアのアシスタント
サウンドエンジニアは、レコーディングスタジオや音楽制作会社に入社した後、アシスタントエンジニアのアシスタントとして、キャリアをスタートさせます。
アシスタントのアシスタントが行う仕事は、掃除・電話応対・買い出しなどの雑用、機材のセッティングや片付けなどで、サウンドエンジニアとしてのクリエイティブな仕事はほぼないに等しいでしょう。
勤務時間も長く辛い時期ですが、ステップアップを目指して根気よく仕事を続けることが大切です。
アシスタントエンジニア
アシスタントエンジニアになると、サウンドエンジニアの側で仕事のノウハウを学びながら、レコーディング時にProToolsの操作をさせてもらえるようになります。
ここでは、録音・再生だけではなく、音の波形の編集などを正確に素早く行う技術が求められます。
サウンドエンジニアとして一人前になるためには、長い人で10年、早い人で5年程度は、アシスタントエンジニアとして働く必要があります。
音楽制作の仕事をした際は、クレジットに名前が乗るようになり、少しずつ仕事にやりがいも出てくるでしょう。通常業務をこなしながら、ミキシングやマスタリングの技術を高める努力も怠ってはいけません。
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サウンドエンジニア
アシスタントエンジニアの中から、ミキシングの腕が良い人がサウンドエンジニアへと昇格できます。
これは、アシスタントエンジニアとして優秀な人が、必ずしもサウンドエンジニアとして優秀とは言えないということを意味しています。
制作現場で音の責任者として音作りを進めるためには、ミキシングで良い音を作り出し、マスタリングで音のクオリティを追求できるスキルが欠かせないためだと言えるでしょう。
そして、レコーディングスタジオや、音楽制作会社で働いていたサウンドエンジニアが売れっ子になると、有名アーティストのお抱えのサウンドエンジニアとして独立したり、フリーランスのサウンドエンジニアとして仕事をしたりします。
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