CM業界の花形!CMプロデューサーの仕事内容と目指し方を解説

この記事の監修者

志土地
志土地キャリアアドバイザー

番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。

CMプロデューサーの仕事内容

①CM制作の進行管理を担う最高責任者

CM制作はそれぞれの分野のプロフェッショナルが集い、作品を完成させています。カメラマンや美術デザイナーなどの多様なスタッフたちをまとめ、制作指揮を握っているのが最高責任者であるプロデューサーです。

プロデューサーは、作品に対する全ての責任を担っています。他のプロデューサーと違い、演出や企画立案は行いませんが、制作を進める上ではプロデューサーに決定権が存在しています。作品の最高責任者として、クオリティはもちろん、急な変更や要望にも出来る限り応えていかなければなりません。時には予算や時間の問題で、クライアントを説得させることも仕事のひとつです。

制作スタッフとクライアントの間に立ち、双方の意見に耳を傾けながら、より良い作品へと導いていく役割を担っているのです。

②制作するCMの監督や制作部を決定する

作品をより面白く魅力的に完成させるためには、スタッフ選びも重要なポイントです。

化粧品などのビューティー系を得意とするディレクターや、MVなど音楽と映像の組み合わせが独創的なディレクターなど、人によってその色合いは様々です。どのような演出を得意とする人に依頼するかで、作品の仕上がりは大きく異なっていきます。

作品によっては、食品や飲料をより魅力的にみせるための「シズル」を頼んだり、対象物に動きが必要な場合は「仕掛け屋」に依頼することもあります。どのような部署が必要かを見極め、企画に沿って必要なプロを掲示するのもプロデューサーの役割です。

③広告代理店と各種調整を行う

制作チームを決定した後、より具体的な演出プランを、各部署と相談しながら仕上げる段階に入ります。主にディレクターのイメージを参考に、美術デザインやアングルなどをそれぞれ形にし、クライアントに提案します。

クライアントと直接やり取りをするわけではなく、広告代理店が間に入り双方の意見を交換します。クライアントから明確な要望や修正が出た場合はすぐに各部署へ展開し、新たなプランを再度構築することが出来ますが、具体的な意見が返ってこない場合もあります。そういった場合は、クライアントの意見を代理店と共にすり合わせをして、どのような修正をするか、綿密な打ち合わせを行います。

制作時間には限りがあり、余裕がないことが多いので、なるべく早く制作に取り組めるよう、クライアントの要望と現実的な解決策を練るのはプロデューサーの仕事のひとつです。

④制作に際する予算の管理を行う

制作に伴うお金の管理を行うのも、プロデューサーの仕事です。各部署から見積もりを集め、予算に当てはまっているかを確認します。

実写やCG、アニメによっても異なりますが、CM制作には想像以上の金額がかかる場合がほとんどなので、自分で「どのようなやり方をとれば、予算内に抑えられるか」を考える必要があります。時間の許す限り実現する術を探す姿勢が、プロデューサーには必要です。

CM制作の流れとプロデューサーの役割

制作するCMの企画

CMの場合、イベントや映画とは異なり、企画を専門で行うプランナーが存在します。CMを制作する対象物のコンセプトや魅力を見極めながら、より注目度の高い企画を立案した後、プロデューサーへと展開されていきます。

プロデューサーは提出された企画に対して、予算内に制作が収められるか、スケジュールが間に合いそうかなど、制作に伴う現実的な問題を考えます。企画の段階で予算や時間が当てはまらない場合は、懸念点を考慮し再度企画を構築したり、アイディアを出すのもプロデューサーの仕事です。

プロデューサーは、実際に実現させるための戦略を考える役割を担っているのです。

キャストやスタッフの選出

企画が決定した後、クライアントの意向を確認しながら、ディレクターやその他スタッフ、起用するタレントを選出します。

特にタレントは、自社製品を背負った顔となる存在なので、流行にのったからといって効果的だとは限りません。重要なのは企画コンテや商品イメージとタレントがマッチしているか。そして、クライアントがどのように商品を売り出していきたいかが大切です。

企画内容はもちろんですが、キャストやスタッフによっても大きく印象が変わってくるので、プロデューサーのキャスティングセンスは重要なポイントです。

カット割りや出演者の演技内容など詳細の検討および決定

CM制作には実際に撮影や編集、映像そのものを作り上げる技術チームと、撮影前にCMの目的や完成イメージ等を明確にする代理店チームが存在します。その架け橋となるのがプロデューサー、プロダクションマネージャーです。

実際に撮影に入る前に、ディレクターやその他スタッフと綿密な打ち合わせを行い、演出の方向性を決めていきます。CM全体の演出はディレクターの役割なので、カット割りやアングルイメージ、狙っていきたい表情などを具体的に構成し、イメージを共有します。

カメラマンやライティングマンはディレクターの演出を聞き、レンズのミリ数やライティングプランを考えますが、プロデューサーはチームの総指揮として、一歩引いた立場から進行を確認します。

ディレクターの考えた演出が企画に合っているか、カット割りは尺数に収まるかなど、完成形をイメージして可能かどうかを判断する役割を担っているのです。

撮影および編集の進行管理

撮影終了後は、ラストスパートである編集作業に入ります。大抵の場合、編集マンは撮影現場に参加することはなく、撮影が終了し素材が揃った後に作業をスタートさせます。

現場にいない編集マンに、それぞれのカットの目的とNG理由など、撮影意図を伝える役割をプロデューサーは担っています。ディレクターの狙いを伝えることで、コンテには描かれていない作品のニュアンスを映像に取り込むことが出来るからです。

CMの大体の枠組みが完成されると、広告代理店と共に試写を行います。その際、現場で決定出来なかった素材の選定や修正箇所がないかを確認します。編集の段階で足りない素材が発覚した場合は、CGの力を借りることも多々あります。また、撮影後に出てきたクライアントの要望にも、編集マンの作業時間を考慮しながら、可能性を見つけなければなりません。

その後、本編集を行い、再度代理店・クライアントに確認し、問題がなければ無事納品というのが大まかなプロデューサーの仕事の流れです。

CMプロデューサーの年収は420万円

年収は所属する制作会社によって異なる

CMプロデューサーの平均年収は、約420万と言われています。プロダクションマネージャーの平均年収が350万程なので、役職の昇格とともに、やや年収も上がっていくイメージですが、実際の仕事量を考えると少ないと思う方も多いのではないでしょうか?

大手のプロダクションに所属している場合、規模の大きな仕事の依頼も多いので、平均年収を上回るプロデューサーも多数います。反対に小規模のプロダクションや規模の小さな仕事をメインにしている企業では、平均年収を下回る場合もあります。

しかし、プロデューサーは人によって仕事の本数も規模も大きく異なります。実力を認められて初めて、プロデューサーとしての依頼がされる実力ありきの世界なので、プロダクションの大小に関わらず、どれだけプロデューサーとして人気があるかにより、年収は異なります。

年収を上げるために転職や独立をする人も

CMは、映画やドラマなどの映像作品と異なり、制作スタッフの名前が大々的に上がることはありません。そのため、プロデューサーとしての知名度が上がるともに、実力が評価される傾向になっているのです。

プロデューサーとしてある程度実力が着くと、独立し、フリーランスとして活躍する人も多くいます。月給ではなく1本ずつ報酬が支払われるので、活躍した分だけ収入が増えることから、やりがいを強く感じることが出来ます。

またCMのみならず、他の映像作品やイベント・舞台など、活躍の幅を広げる目的で独立や転職を試みる人も多くいます。プロデューサーは、仕事の境界線や限界がないことから、自分次第で様々なことに挑戦できます。年収だけでなく、自分自身のステップアップのためにもプロダクションから脱することは、ひとつのアプローチ法としておすすめです。

CMプロデューサーに求められる能力

CMプロデューサーはCMの制作現場における最高責任者です。CMプランナーが企画した
CM案を、予算やスケジュールを調整しながら映像に起こしていきます。

ここで重要なのは、CMプロデューサーが企画を担うわけではないということです。
CMプロデューサーに求められる能力は企画力や独創性ではなく、現場のリーダーとしての資質です。
特に重要な3つのポイントをご紹介します。

適切な目標設定が出来る

この”適切な”という表現の指標となるのが「SMARTの法則」です。SMARTの法則とは
Specific(具体的な)
Measurable(測定可能な)
Achievable(達成可能な)
Relevant(最終目標に関連しているか)
Time-bound(期限が明確な)
の頭文字です。
このフレームワークに沿って、最終目標が「2022/12/1に完パケ」という目標が設定されたとすると、
・余裕を持って納期の2週間前にはCM完成
・編集期間を考えて納期の1ヶ月前には撮影を終了
・CMに出演するタレントさんのキャスティングは〇〇日まで
・撮影ロケ地の下見などのスケジューリングは〇〇日まで決める必要がある
など、事前準備に必要な項目を洗い出し、逆算してスケジューリングしていきます。
一度全て洗い出し、もし厳しいようなら具体化したtodoの期限を修正するなどして、現実的に達成可能な目標を立てていく必要があります。

コミュニケーション能力が高い

これはクライアントやパートナーなどの外部との連絡、社内の伝達やスムーズな連携に関しても必須とされる能力です。
関係各所と円滑なコミュニケーションを行うために、論理的に説明する能力や、言いたいことをしっかり言いながらも相手を不快にさせない伝え方を身につける必要があります。

リーダーシップと責任感を持つ

前述のように、プロデューサーは制作チームのリーダーですから、チームのメンバーが安心してついて来れるような人物でなければなりません。
リーダーシップとは「指導力・統率力」などと表現され、プロデューサーはこれらを備えていることが求められます。
具体的には
・目標達成のための明確なビジョンをメンバーに示す
・メンバーのモチベーションを高く維持できるよう士気を高める
・一人で仕事をこなそうとせず、周りの人を巻き込んで仕事を適切に分配することができる
といったことが求められます。
また、チームメンバーがミスを起こした時には、一緒に解決策を考え、現場の最高責任者として失敗の責任を背負わなければいけません。そのためプロデューサーになるにはプロジェクトに対する責任感が必要とされます。

CMプロデューサーになるには?

広告代理店や制作会社に就職するケースが多い

CMプロデューサーを目指す場合、広告代理店や制作会社に勤めることが一般的な道のりです。企業によってはCM部・映画制作部など、制作媒体によって部署が異なる場合もあるので、初めからCMに携わるとは限りません。

数多く存在するプロデューサーの中から指名を受けるには、作品のクオリティだけでなく、幅広い人とのつながりが大切です。

広告代理店や制作会社では、実際にプロデューサーとして活躍する人たちの元で経験が積めるので、制作の流れを学ぶことはもちろん、「プロダクションマネージャー」として様々な人と関わりを持つことが出来ます。

フリーランスで映像業界に入り、現場制作スタッフとして経験を積む方法もありますが、映像制作の経験がない限り、プロデューサーへの道のりは難しいでしょう。

就職する企業の規模によって求められる学歴は様々

大手の企業では、四年制大学卒業以上の学歴が求められることもしばしばです。しかし企業によって採用資格は異なるので、希望する企業の応募規約を確認するようにしましょう。

最近では、映像制作の専門学校や美術大学で映像について学んだ後、制作会社や広告代理店に入社するというケースも多くあります。現場での経験が何より大切ですが、学生時代に映像制作を経験しておくと、撮影にかかる時間や制作の難しさなどを事前に知ることが出来るので、少しのことで諦めない忍耐力を培うことが出来ます。

また、普段からCMや映画など映像作品に興味を持つことも大切なポイントです。自分が好きな映像はどういうものなのか、注目度の高いディレクターの作品を数多く見るなど、能動的に映像について日々学ぶことで、より具体的に作り上げたい映像のイメージが出来るようになります。

プロダクションマネージャーとしてアシスタント業務を経て就く

入社後すぐにプロデューサーとして活躍するわけではなく、大抵の場合は「プロダクションマネージャー」としてプロデューサーの補佐を担当し、経験を積んでいきます。実際の制作現場の進行や細かな予算管理、各部署のスタッフとの打ち合わせなど、制作において必要な段取りを任されています。

プロダクションマネージャーとして数年経験を積み、少しずつ仕事が認められるようになると「Vコン」といわれる、企画コンテを映像化した資料の制作を任されるようになります。実際にテレビに流れるCMとは異なりますが、ここで初めて自分自身がプロデューサーとして映像に携わるようになるのです。

人によってプロデューサーになるまでの年数は異なりますが、より多くの現場に参加をし、数をこなすことで徐々に仕事の幅が広がっていきます。

CM制作会社一覧

最後に、誰もが知っているようなCMを手がけた大手制作会社を紹介していきます。
株式会社アームズ
製薬会社である大正製薬との繋がりが深く、「パブロン鼻炎カプセル」や「リポビタンDX」などのCM制作を手がけています。

株式会社VECKS
株式会社ベクトルを親会社に持ちます。「コカ・コーラ」や英会話教室の「NOVA」などのCMを制作しています。

株式会社ピクト
電通の100%子会社です。全日本シーエム放送連盟(ACC)が主催する国内で最大の広告賞「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で多くの賞を受賞しています。トヨタ自動車のCMなどを手がけます。

株式会社AOI Pro.
女優の松嶋菜々子さんとMattさんという意外性のある二人が共演したUber EatsのCMや、キウイのマスコットでおなじみのゼスプリのCMなどが有名です。アジアトップクラスの映像プロダクションとして知られています。

株式会社TYO
綾瀬はるかさんが出演しているコカ・コーラゼロのCMやアサヒスーパードライなどのCMを制作しています。他にもKing Gnuの「白日」のMVなども手がけており、多数の広告賞も受賞しています。

太陽企画株式会社
年間に手掛けるCM数は約300本にも登る大手制作会社です。俳優の堺雅人さんが出演するマクドナルドのCMや、歌手の西川貴教さんの歌が印象的な消臭力のCMなどを手がけています。

株式会社アットアームズ
こちらはミスタードーナツや任天堂あつまれどうぶつの森などのCMを制作しています。

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※平均年収などの情報は、執筆当時のIndeedの平均値や当社顧客データベース情報に基づきます