アニメの制作進行になるには|仕事内容や給料を解説

この記事の監修者

武田
武田キャリアアドバイザー

埼玉出身。趣味はTwitter更新。特技はこれから活躍するイケメンを見つけること。
総合型の人材紹介会社に入社し、WEBサービス・ゲーム企業を中心に、
職種かかわらずリクルーティングアドバイザーとして約150社の企業の採用支援を行い、約300名の転職に携わりました。
その後採用担当を経て、株式会社エイスリーに入社し、
エンタメ業界で活躍したい志を持った方をHR業界出身の観点で転職サポートさせていただいております!

アニメにおける制作進行とは

画像1

アニメーション制作の現場では、さまざまなクリエイターが集まってひとつの作品を作っていきます。

作画を担当するアニメーター、背景を制作する美術のほか、演出や脚本、世界観設定をブラッシュアップするデザイナーが関わることもあります。

こうした多くのメンバーをまとめるために、制作現場において欠かせない仕事が「制作進行」です。

制作進行は、アニメのスケジュールや進行状況を管理し、アニメーターをはじめとしたクリエイターたちと連携しあいながら、滞りなく制作を進めることが主な仕事です。

担当する業務は非常に幅広く、演出や監督との打ち合わせやスケジュール連絡だけでなく、会議そのものの設定や会議資料の作成や印刷、素材運搬などの雑務もほとんど担当しています。

制作進行ならではのやりがいとは

制作進行は、さまざまな職種のクリエイターたちをつなぎながら、円滑にプロジェクトを回すという重要なポジションです。

1話が作られている間にも、次の話、その次の話……と、来週・再来週の放送に向けた制作は進んでいきます。

そのため1話1話ごとではなく、数話単位、場合によっては作品全体のスケジュールを俯瞰的に把握しながら、多方面と連携しなければなりません。そのため、ときにはハードワークになってしまうこともあるでしょう。

ですが、作品全体のスケジューリングに関わり、クリエイターたちとまんべんなく関わるため、一つの作品に対する思い入れも強いものになります。
自分が制作に関わったアニメが完成し、実際に放送された際の感動はひとしおです。

業界未経験なら制作進行がおすすめ

アニメーターや美術、キャラクターデザイナーになるためには、当然ながら作画スキルは必要不可欠です。
最近見られるようになったCGアニメであれば、CG制作スキルが求められるでしょう。
そのほか、演出、監督、音響(PA)、撮影などもありますが、いずれもクリエイティブスキルを極めたプロフェッショナルたちが就く職種です。

ですが制作進行に求められるのは、調整力やコミュニケーション力、折衝力といった、いわゆるポータブルスキルと呼ばれる、どの業界でも求められる一般的なビジネススキルです。

アニメが好きでアニメ制作に関わりたいけど、絵を描くことはできない。
作画に関する知識もスキルもないが、アニメ業界で働きたい。

そう考えている方にとって、アニメの制作進行はおすすめの職種なのです。

制作進行の仕事内容をチェック

画像2

それではここからは、実際のアニメの制作進行の仕事内容について、もう少し詳しく確認していきましょう。

ここでは、大きく3つの仕事に分けてご紹介していきます。

スケジュールの作成・調整

アニメの制作が決まったら、その作品を制作するために必要なスケジュールを作成します。

制作進行の仕事のうち、大きな軸となる業務の一つがこのスケジュール調整業務です。

プロデューサーやビジネス側の上位役職者が、必要な予算を概算しており、予算を獲得してきているはずです。
その予算を割り振りながら、決められたスケジュールのなかで稼働できる制作人員を確保していきます。

アニメ制作の現場では特に、さまざまな要因でトラブルが発生し、そのたびにスケジュールが圧迫されていくものです。
それを見越して予定を立て、トラブルに対応してスケジュールを調整し、最終的な納期に間に合わせるように人員配置をしていきます。

余裕をもったスケジュールを立てることは、作品の質に大きく影響を与えるものです。現場の状況や進捗を見ながら、柔軟に臨機応変に対応する能力が必要不可欠です。

関係者との連絡

制作進行の仕事のうち、もう一つの大きな軸となるのが関係各所との連携役になることです。

制作進行は、アニメ制作に関わる多くのクリエイターをつないで一つの作品を完成へと導きます。

前述したようなさまざまなクリエイターたち同士、そしてクリエイターとビジネスサイド、そしてクライアントをうまく連携させ、円滑に制作が進むように調整していきます。

アニメ制作に限らず、ステークホルダーが増えれば増えるほど、スケジュール調整は困難になり、納品物の管理は複雑になります。

制作進行はいつでも各種関係者と連絡が取れる状態を維持しつつ、一丸となって制作できるように各所との人間関係を構築しておくことが重要です。

品質の担保のために雑務を担う

前述した調整関係の仕事以外にも、さまざまな雑務を担っています。
細かい会議や打ち合わせの設定や連絡、納品物の物理的な受け取りや移送、資料準備なども制作進行が行うケースが多いでしょう。

これらの雑務を制作進行が担うことにより、クリエイティブ制作に関わる人たちに、クリエイティブ制作に集中してもらう必要があるのです。

このように、クリエイティブ職が専門的に制作だけに専念できることは、作品の品質に大きく影響を与えます。一見、面倒で細かい仕事のように感じられるかもしれませんが、実は作品のクオリティ担保に大きく関わる重要な仕事でもあるのです。

制作進行に必要なスキルとは

画像3

ここまでは、制作進行の仕事について確認してきました。では実際に制作進行を行うにあたって必要なスキルとはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。

正確なスケジュール管理能力

アニメは、ネット配信であれテレビ放送であれ、放送・公開する日程が決まっています。
そこから逆算し、納期に合わせてアニメーターや制作会社のスケジュールを調整しなければなりません。

もし最終納期に間に合わなければ、いわゆる「放送に穴をあけてしまう」状態になり、大変な問題になります。テレビ放送ならば放送事故になり、会社の命運を左右しかねない大損害になるでしょう。

そのようなことにならぬよう、制作進行はしっかりとスケジュールを管理します。
メンバーたちのスケジュールを管理しながらプロジェクトを進めるためには、全体を俯瞰しながら日程や進捗を調整する必要があります。
そのために、正確なスケジュール管理能力は必要不可欠です。

複数の関係会社や何人ものアニメーターのスケジュールを同時並行で管理しなければならないため、マルチタスク的に把握する能力も求められます。

高いコミュニケーション能力

制作進行が多くのメンバーやステークホルダーと連携をとる、というのは前述のとおりです。
制作進行とはいわば、来歴や専門職能が異なる人々の間に入り、うまくスケジュールを動かすための潤滑油のような存在です。

そのため、絶対に必要なのが高いコミュニケーション能力です。

各所から上がってくる難しい注文や意見を集約し、軋轢を生まないよう、不平不満が出ないように、なおかつ意図するところが伝わるように連絡を行います。

場合によっては、社風もまったく異なる別会社と連携する必要もあります。それぞれのメンバーがもつ気質にも配慮しつつ、各々が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、コミュニケーションを通じた制作環境の整備も重要な仕事のひとつです。

臨機応変で柔軟な対応力と判断力

アニメ制作現場は、トラブルと隣り合わせです。

最初に決めたスケジュール通りに進行することはほとんどないといっていいでしょう。

制作進行に求められるスケジュール調整能力とは、納期から逆算して制作日程を決めることを示すのみではありません。そうしたトラブルに対して的確に対処し、文字通り調整しながらスケジュールを守る能力なのです。

そのために必要なのが、トラブルに対して臨機応変に対応する能力です。ここぞという踏ん張り所での判断力も必要となります。

前述したコミュニケーション能力も駆使しながら、守るべき品質を維持しつつ、納期を守れるように対応していくことが重要な業務なのです。

自動車の運転

ここまで解説してきた、ある意味では抽象的なスキルと比べると、一気に具体的な能力だと感じるかもしれません。ですが制作進行は自動車を運転する可能性があるため、自動車運転ができることは重要な要素なのです。

昨今ではデジタル化により、オンライン上で納品ができるようになりました。そのため、「運転免許」が必ずしも必要というわけではありません。ですがこれまで何度もお伝えしてきたように、トラブルは起こるものです。

かつて多くの現場がそうしていたように、アニメーターの自宅まで、完成した原画や原画データを取りに行くという可能性もあります。スタッフを送迎する必要に迫られるかもしれません。

いまだに「運転免許の所持」が入社条件にある企業も珍しくありませんし、社用車をもっている制作会社も一般的なのです。

制作進行の年収や給料

画像4

ここまでは、制作進行に求められるスキルを見てきました。ここで一度、その平均年収について確認してみましょう。

制作進行の平均年収は285万円といわれており、これは日本人の平均年収である440万円を下回っています。

最初のうちは社会平均と比較して給与が安く、そのわりには覚えることが多く大変だと感じるかもしれません。しかしだんだんと慣れていくことで、さまざまな制作スタッフと信頼関係が構築でき、仕事もやりやすくなっていくでしょう。

制作進行のキャリアパス

画像5

制作進行で実績を積み上げた先には、どのようなキャリアがあるのでしょうか。ここでは、制作進行のキャリアパスについて解説していきます。

制作デスク

制作進行の上位職にあたるのが制作デスクです。複数の制作進行をまとめる役割を担っています。

各々の制作進行が抱えるスケジュールをチェックし、検討することも制作デスクの重要な仕事です。より広い視野で全体を把握する能力が求められます。

そのため制作進行に必要なコミュニケーション能力だけでなく、チームをマネジメントする能力も必要になります。

制作進行の実務経験を5年ほど積むことで、制作デスクに昇進できる可能性があるといわれています。5年の間に、コミュニケーション能力をさらに鍛えつつ、マネジメントスキルも身につけるように努力していきましょう。

プロデューサー

アニメ制作のビジネス的な責任者がプロデューサーです。クライアントやスポンサーなどを相手にしながら、制作するアニメをビジネス的に成功させるべく、予算を取ってきたり人員を確保したりします。
制作進行のスケジュール管理能力だけでなく、予算管理能力を追求した先にある上位職です。

なお、制作プロデューサーになれば年収は約590万円ほどになるといわれています。これは、制作進行と比較して2倍以上高額な平均年収です。目指すに際して、十分に魅力的なキャリアといえるのではないでしょうか。

 

エンタメ業界への転職を目指したい方はエンタメ人まで!

「エンタメ人」は、キャリアアドバイザーの多数がエンタメ業界経験者という、エンタメ業界専門・総合人材サービスです。現状の相談をしたり、将来の展望を一緒に考えたり、選考へのアドバイスをもらったりといったキャリア関連の相談が無料で行えます。

また「エンタメ人」では、ここにしかない非公開求人や高待遇案件が多数あるのです。
「エンタメ人」を運営している株式会社エイスリーは、タレントなどのキャスティング事業を行っており、エンタメ業界の各社と太いつながりがあります。

そのため、業界とのつながりを通じた特別案件を紹介することが可能となっているのです。
そして、エンタメ業界出身のキャリアアドバイザーだからこそ可能な、書類選考・面接対策で内定獲得率をアップさせていきます。
徹底したサポートにより、登録から内定まで最短2週間でのスピード転職も実現可能なので、ぜひ一度エンタメ人までお気軽にご相談ください。

●エンタメ業界の転職なら「エンタメ人」●
独自のネットワークを活用した非公開求人、ハイクラス求人も多数あり!
1分で簡単登録。お気軽にお問い合わせください!

バナー

※平均年収などの情報は、2022年11月当時のIndeedの平均値や当社顧客データベース情報に基づきます。