ADになるにはどうしたらいい?未経験からの転職・キャリアアップのコツを伝授!

この記事の監修者

志土地
志土地キャリアアドバイザー

番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。

ADになるには?気になるADへの転職事情

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主にバラエティー系のテレビ番組でAD(アシスタントディレクター)さんが顔出しをする機会を目にしたことはないでしょうか。低予算番組では、ディレクター・ADともに出演し、タレントさんが行うような食レポや商品レポートを行うことすらも出てきました。

以前よりも、ADは馴染みがある職業になっているのかもしれません。

実はそんなADは、テレビ業界や映像業界で番組制作のキャリアをスタートする際、最初に経験することになる職種です。ディレクターもプロデューサーも、多くはADからスタートしてキャリアを積むのが一般的なのです。

それでは、テレビ業界へ飛び込みたい、ADになりたい! と考えたとき、どうしたら良いのでしょうか。この記事では、ADになるにはどうしたらいいかという基本的な情報から、気になるキャリアアップにつながるスキルまでご紹介していきます。

募集は多いが離職率も高く、熱意と覚悟が必要

ADは薄給で激務である、というお話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ADの募集は常に行われており、「求人数が少ない」ということはありません。ですがそれは、その分離職率が高く、どこの制作会社も優秀なADが慢性的に不足している、ということをも意味しています。

そのため、ADに転職するには一定の熱意と覚悟が求められます。採用する側もすぐに辞めると思って採用しているわけではありません。できれば長く活躍してもらいたい、と考えています。

働く際のモチベーションとしての熱意と、それを維持して続けられるだけの覚悟は、そもそも最初からもっていないとADを続けるのは難しいでしょう。
そして、採用側もそのような熱意や覚悟があるのか、選考の場ではかなり真剣にチェックしています。映像制作や番組制作へのスキルや知識を問われるのは当然なのですが、それ以上に「続けてくれそうか」というポイントのほうが重要視されることもあります。

現場特有の決まりはこれから覚えていけば良いので、スキルは高いが熱意がない応募者よりも、スキルはなくとも熱意がある応募者のほうが選考を通過する、ということも良くあることなのです。

未経験なら特定の職種からの転職が有利ということはないが、経験に有利不利はある

映像関係から転職するのならば別ですが、未経験からADになろうとする場合、特別にこの職種であれば有利、というようなことはありません。

それよりも、ADで求められる能力をこれまでの業務で発揮してきた、という経験をもっているほうが選考で有利になります。

ADは、ディレクターの補佐として様々な雑務を行います。制作会社が違えば行う仕事内容も変わりますし、同じ会社でも担当する番組が変われば異なる役割になることもあります。

ですが、おおむね共通して求められるのは以下の能力です。
・スケジュール管理能力
・抜け漏れや危機を察知できる気配り力
・臨機応変に変化に対処する対応力

上記3種は、ADになるためにもっていると評価される能力であると同時に、ADとして成功しキャリアアップするために必要な能力でもあります。

そして、膨大な仕事にうまく優先順位をつけて処理しつつ、現場スタッフとやりとりを行うためには以下の能力も必要となります。
・優先順位をつける判断力
・コミュニケーション能力

上記2種は、必要最低限の能力です。
特にコミュニケーション能力は、面接などの場でアピールできなければ、そもそも選考検討すらされないでしょう。多くの現場スタッフだけでなく、クライアントである放送局の人、ロケ地の担当者、出演者たちともやりとりをしなければならないため、コミュニケーション能力に乏しいと仕事そのものが難しいためです。

・少人数で何かを作り上げた経験
・短い納期で納品物を製作(または制作)した経験
・マルチタスクを求められた経験
・営業として飛び込み営業で新規開拓した経験

上記のような経験をエピソードと交えて説明できると、選考で有利になるでしょう。

学歴は必要?大卒・専門学校卒・高卒の就職状況

もし、新卒でキー局へ入社したいのなら、四年制大学でいわゆる高学歴と呼ばれる学歴をもっていれば選考で有利になります。キー局のプロデューサー以上の職種は年収1,000万円~2,000万円のかなりハイクラスな職種です。キー局でプロデューサーやそれ以上の地位に出世している人たちは、高学歴の新卒入社者が多いのです。

それとは一転して、新卒で通常の制作会社のADに就職するのに学歴はほとんど必要ありません。高学歴だからといって有利になることはあまり多くありません。映像系の専門学校出身であれば、ある程度有利になることはあります。ですが、専攻が映像制作に関係ないからといって、著しく不利になることも少ないのです。

例えば撮影系の専攻であれば「カメラマン」という専門職に、音響系であれば「音響」という専門職に就職していきます。一般的な大学を卒業して「カメラマン」という専門職に就こうとしたら、専門学校卒で撮影技術に関して専攻していた応募者と比べると、かなり不利になってしまうでしょう。
ですが制作会社のADは、特化した専門の職能が必要とされません。スケジュール管理が得意であるとか、群を抜いて気配りができるとか、そういった学校では専攻しないタイプの能力が重宝されるのです。前項でもお伝えしたスケジュール管理能力、気配り力、対応力、コミュニケーション能力があったほうが、専攻や学歴よりも評価されやすい傾向があります。

では次に、新卒ではなく転職する際にはどうでしょうか。

転職でキー局の制作に行くには相当な実力と経験と運とコネクションが必要となります。新卒の高学歴者以外には門戸が開かれていないに等しいので、ひとまずキー局で働くことは運が良ければできるかもしれない、程度に記憶に留め、一旦忘れておきましょう。

転職してADになる場合でも、制作会社へ新卒入社する際と同じく学歴は必要ありません。前述の通りADに求められる能力をもっている、ということのほうが、よほど選考で有利になります。

 

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【ADになるには…?】ADの仕事で求められるスキルと面接でのアピール方法

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ADになるために、面接の場では求められる能力をアピールしておきましょう。この項目では、重要なスキルとそのアピール方法をピックアップしてまとめました。

なお、これらはADとして活躍し、キャリアアップしていくためにも必須のスキルです。採用されることだけを目的にするのではなく、その後の活躍も見据えて、下記のスキルを磨いておきましょう。

スケジュール管理能力

テレビ番組の放送や、映像の納品は、決して遅れることが許されない仕事です。多くのスタッフや現場関係者、出演者、スタジオ、ロケ地など、関わる人や施設が膨大になるため、どれか一つが遅れたときに雪崩のようにスケジュールが崩れて、取り返しがつかなくなってしまいます。スケジュールはずらせないものばかりであるため、スケジュール管理能力は大変重要なスキルです。
・仕事でスケジュール管理能力が試される具体的な場面
放送日時から納品日を、納品日から完パケの完成日を、完成日から編集日を、編集日から撮影日を、撮影日から準備完了日を……というように、逆算してスケジュールを立てます。

放送日はかなり未来に思えても、実は今すぐに小道具を依頼しないと間に合わない、ということもしばしば起こります。

立てたスケジュールを関係各所に周知し、遅れそうなら催促し、全体のスケジュールを守るというのが、ADの重要な役割でもあります。

・面接でのアピール方法
具体的な業務としては、納品に締め切りがある制作物・製作物に関わっていたことをアピールしましょう。納品というゴールを迎える前には、設計の締め切り、プロトタイプの締め切りなど、途中で小さな締め切りがあることがほとんどではないでしょうか。そのような締め切りの連続は、番組制作にも通じるものがあります。

また、自分で行っているタスク管理など、スケジュールを守るための独自の取り組みを伝えるのも効果的です。スケジュールを管理する方法はいくつもありますが、要するに「膨大な予定」をどのように「すべてこなしていくか」に尽きます。スケジュールをオーバーしてしまわないために、自分が今までどんな手段を使ってきたかをアピールしましょう。

気配り力(気づく力)

とにかく制作現場には、さまざまな仕事や細かい業務が散らばっています。同じ番組を制作するにしても、すべて前と同じで良い、とは限らないのです。
そのなかで、思わぬ事態や気づきにくい小さな変化が生じます。用意する物が変わる、スタッフが変わる、連絡先が変わる……。そのような変化に気づいて、懸念を潰しておく力は必須です。もちろん、スタッフや出演者のために「こうしたらもっとやりやすくなる」という提案や協力をする、という意味での「気配り」も求められます。

・仕事で気配り力(気づく力)が試される具体的な場面
「いつもと違うスタジオで撮影」という変化があったとします。
関係者全員に念のため周知しておく、設備を事前チェックする、スタジオ付きのスタッフが変わるから事前打ち合わせをする、場所が違うから集合時間を早める、弁当の届け先をテンプレの場所ではなく正しい場所に変更する……。
たったひとつの単純な変化でも、上記のように多くの影響が発生します。それらに気づき、解決する力が求められるのです。

「場所は台本に書いてあるから念押ししなくていいか」と考えるよりも、気配りとして伝えてあげたほうが間違いは少なくなるはずです。このように「気配り力」とは気遣いであると同時に、問題を事前解決する能力でもあるのです。

・面接でのアピール方法
マニュアルがないタイプの仕事をしていたことはアピールポイントとなります。決まったルーチンワークではなく、自分で仕事を見つけたり、その場に合わせて最適な対応をしなければならないような業務経験は、気配り力を鍛えてくれているはずです。
また、作業手順がなかった状態から、マニュアルや標準書、指示書に落とし込むような業務も「気づく力」を養うという意味ではアピールポイントになります。

そのほか、例えマニュアルがあったとしても、お客さんに合わせた対応を求められる「営業」や「接客業」の経験は、気配り力をアピールするのに打って付けです。自分の気づきで何かを解決したり、契約が決まったり、お客さんに喜んでもらえたりした、というエピソードをもとに話していきましょう。

臨機応変な対応力

前述の気配り力(気づく力)と密接に関わっているのが対応力です。何か問題に気づいたとして、それを解決できなければいつまでも指示を仰ぐだけの地位に留まってしまいます。ディレクターもいつでも指示できるわけではないので、自分の考えで対応しなければならない機会もあります。
対応力とはすなわち、問題に気づいたあとにそれを解決する能力でもあるのです。

・仕事で対応力が試される具体的な場面
せっかく完璧なスケジュールを立てても、小道具が遅れる、天気が悪くて撮影が進まない、CGが間に合わない……そんな問題は常に起こります。
大きな問題であればディレクターの判断を仰ぐこともありますが、細かい業務を一手に担うADには、その分だけ細かいトラブルがたくさん降りかかってきます。すべてをたずねるわけにはいかないので、ある程度はAD側で解決しなければなりません。
小道具は自分で作る、撮影後のスケジュールを調整する、CGなしで一旦試聴会を行う……。さまざまな手段を用いて対応することが求められます。

・面接でのアピール方法
アルバイトでも良いので部下をもっていた経験があったり、何か自分で判断を下すことがあったりしたのであればアピールポイントとなります。

対応力とはすなわち「自分の権限内で正しい判断を下す」ことでもあります。権限より大きな決定はできませんし、勝手に自分の業務範囲外のことをしたり、報告を怠ったりするのは問題です。そしてもちろん、間違った判断を下してもいけません。

業界のクセや制作上の決まりは後々学んでいくことができるため、「この場合はどうする」という経験を積むことで対応力は鍛えられます。
ですが、対応力の核となる「これは自分でなんとかできる範囲なのか」という嗅覚のようなものは、業界に入る前に身につけておくことができます。
対応できる範囲か否かの判断をどうしているのかと、正しい判断をするための自分のなかの基準のようなものを、エピソードと共に伝えると良いでしょう。

 

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