【ご成約インタビュー】印刷会社から総合広告代理店へ 北星社がYouTube関連事業を譲り受けた狙いとは

 

株式会社北星社 代表取締役 早川 薫 氏
企画・デザイン・撮影・編集・製版・印刷・製本・加工と、印刷に関連する仕事を一貫して手がける総合印刷会社。
2022年に事業拡大を目的にアイティエイチ株式会社からYouTube関連事業を譲り受ける。

現代に即した事業にするために

早速ですが、御社の事業内容について簡単にご説明をお願いします。

はい、当社はオフセット印刷をメインにした会社で、主に商業印刷を主としています。
企画、デザイン、撮影、編集、写真製版、製本と印刷まで一貫して事業を手がけているのが特徴です。

ー会社を元々創業された経緯はどのようなものでしたか?

私の父が昭和28年に創業し、私が2代目です。

創業当時は戦後まもない頃で、まだ日本が高度成長期に入る少し前にあたるのですが、戦争が終わって、巷に紙の媒体がまだ少ない時代でした。

うちの父も本などの印刷物が好きだったものですから、これから紙の媒体が世の中に増えてくるだろうと考え、「印刷業が伸びるんじゃないか」ということで、創業したと聞いています。

ただ、当時他にも印刷会社はあり、当社は後発の印刷会社でした。特徴を出すために、最新の設備を積極的に導入し、早めにカラー印刷などを取り入れた結果、上手く時代の流れに乗って事業拡大できました。

ー創業された時と今とで全く時代背景などが違いますよね当時から見て一番大きく変わったところはどこだと感じますか?

180度違いますね(笑)。一番大きな変化はやはりデジタル化ですね。
以前であれば、紙というのが非常に強力な広告媒体だったのですが、現在ではオールドメディアとなり、タブレットやスマートフォンにとって変わられています。

代替するメディアの出現がそのまま印刷の需要減少につながっていますね。需要が右肩上がりの時代から、右肩下がりの時代になっていて、印刷だけやっているのではなかなか厳しいというのが実情です。

いまはお客さんが何を求めているのかうまく汲み上げて印刷以外の媒体も含めてお客さんに提案していかないと、生き残れない時代になってきましたね。

ーM&Aの選択肢を考え始めた時期はいつ頃ですか?

M&Aを本格的に考え始めたのは4,5年前ですね。

やはり印刷だけでは厳しいという状況になりつつも、私を含め社内に新規事業を立ち上げられる人材もおらず、どこかそのような能力のある企業と手を組めればというような思いはありましたね。

ーM&Aを検討されてから、情報収集はどのように行われていたのですか?

こちらとしてはツテはないので、金融機関からの紹介が主でした。
デザイン会社や同業の印刷会社など、印刷に直接関連のある会社を紹介されていたのですが、業種が近すぎるとあまりM&Aを行うメリットが無いと感じました。

正直、金融機関からのご紹介は提供する情報が当たり前すぎて、ピンとくるところがありませんでした。

ー確かに、売り上げ規模は拡大するかもしれませんが、変革ではないですね。M&Aを検討されているフェーズから、実際に「やろう」というように、心境の変化があった瞬間について教えてください。

実は3年半前に経営コンサルの方からのご紹介で1社アクリル印刷の会社をM&Aしたんです。正直五分五分だと思っていたのですが、その会社が非常に業績がよかったため、そこで成功体験が生まれました。

そこから「M&Aっていいんじゃないの」という思いになったのは事実ですね(笑)。

ー1回目のM&Aの心理的ハードルが高いと思います。その中でも一番悩まれた部分はどこにありましたか?

一番悩んだのは、人材の部分です。要は、「買収したはいいけど、うまく運営できるか」という部分ですよね。我々の中から買収先を運営するメンバーを出さなければいけないのですが、そういったメンバーが確保できるかがM&Aで一番悩みました。

もう1つは印刷業自体が儲からなくなっているなかで、将来の姿をどう描くかというところですね。印刷であれば自分自身で経験があるのでわかりやすいのですが、印刷以外の部分で、うまくシナジーを作りながらいかに伸ばすかという計画を考えるのはなかなか難しいところでしたね。

ー人材に関する部分はどのような工夫をされましたか?

事業譲渡していただいた社長さんに1年間、副社長として経営に携わってもらって、その間に、メンバーへの指導や業界の勉強を行って、業務を引き継いでいきました。内部に一定期間入っていただいたおかげでスムーズにうまく引き継げたと思いますね。

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全く異なるYouTube関連事業との出会い

2回目のM&Aは弊社でお手伝いさせていただきましたが、どのようにしてエイスリーを知ったのでしょうか?

新しく買収した会社が、アニメ関係の仕事をしておりまして、事業を通じてエイスリーさんがエンタメ業界特化のM&A事業をやられていると知りました。

ー最初に弊社からのご提案を聞いたときの印象はどうでしたか。

M&Aはどちらかというと会社を買うというイメージだったので、会社の人や資産や業務内容が判断材料のウェイトとして高いイメージでした。

ところが今回のご提案内容はYouTube関連事業。本来の資産である人材や不動産や得意先といった目に見える資産がない分、戸惑いはありましたね。

思い返すと、そもそも今回のM&A先の会社さんが手がけている事業内容や、事業の収益構造も含め無知な状態でした。YouTuberなどの存在で、YouTubeでお金が儲かるというざっくりしたイメージはありましたが、それが自分達の商売にどう繋がるのか、というイメージが全く付きませんでした。今回の対象はアニメのチャンネルだったのですが、アニメチャンネルを制作して儲かるイメージが湧かず、不安ではありましたね。

ーそれこそ事業内容が遠いイメージがあるので、シナジーがちゃんと生まれるのかというところは不安ですよね。

そうですね、あまりにも遠すぎるんじゃないかなって(笑)

ー結果的に、早川社長はM&Aに踏み切られたと思うのですが、弊社のコンサルタントと話しているうちにシナジーを出すイメージは固まっていきましたか?

そうですね、密に連携を取っていろいろ教えてもらうなかで不安は解消されていきましたね。話を聞いていく中で、我々にも(チャンネルを)活用できるイメージがしっかり湧きました。
また、M&Aの情報を一部若手社員と共有する中で、社内でも活用方法のフィードバックが生まれ、自分の思いつかなかった可能性も広がりました。

エンタメ業界における専門性とスピード感がエイスリーM&Aの魅力

ー率直に言って、今回のM&Aはご満足されていますか?

まだ3ヶ月くらいなので、これから先はちょっとわかりませんけれども(笑)、今のところは満足しています。多少紆余曲折はありましたが、当初の予定通り順調にはきているようです。

弊社サービスを使って良かった点を教えてください。

エンタメ業界における専門性とスピード感です。
話が進む前は我々にとっては買収先がよく知らない業界だったこともあり、色々質問攻めにした記憶があります(笑)。

しかし、エイスリーさんの担当者の方には嫌な顔ひとつされずに非常にわかりやすく、迅速・丁寧に答えていただきました。

業界に詳しいエイスリーさんが間に入ったことにより、一連のM&Aが非常にスムーズに、短時間で話がまとまったという印象です。

ーありがとうございます。そう言っていただけると非常に嬉しいです。M&Aを実際にされてから、社内の雰囲気などは変わるものですか?

ポジティブな方向に変わりました。
印刷というのがオールドメディアで売り上げが伸び悩んでいたところに、コロナで収益も上がりにくくなっている状況で、「会社はどうなるんだろう」という不安をもった社員もいたと思います。

そのような中で、従来の印刷とは異なる分野でM&Aを行ったことで、社内でも「この会社は印刷とはいいながらも、色んなことに挑戦して変化しようとしている」というポジティブな思いが広がってきています。

どうしても、売り上げが下がって収益が悪化していくと、投資も消極的になりがちですが、M&Aによって収益を確保する明確なビジョンが打ち出しやすくなります。

社員にも会社の動きを共有することにより、会社への安心感や信頼感が高まったのではないかと思います。

ーなるほどですね。業界の将来に不安を感じている社員さんにとっては、変化していることで安心感が生まれたという、好循環ですね。他社さんや周りの会社さんから反響はありましたか?

そうですね、金融機関からは、最初「そんな会社を買収して大丈夫か?」というように思われていたかと思います。

しかし、金融機関の中でも「今の時代のニーズやトレンドを考えた時に、そういうのありだよね」という前向きなイメージで捉えてくれる方も多いです。総合的な評価としては、「北星社はなかなか前向きに進んでいるな」という評価をいただいていると思いますね。

結果を出すというプレッシャーはありますが(笑)。

ーありがとうございます。買収もそうですし、譲渡も検討されている経営者様が多いと思うのですが、M&Aのご経験者として、メッセージをお願いします。

M&Aというのは、売るにしても買うにしてもなかなか勇気がいると思います。特に譲渡する側はご自身の手塩にかけて育ててきた会社や事業を手放す勇気がいりますし、従業員のことであったり、自分の処遇なども含めて不安は尽きないと思います。

ただ、実際にやってみるとそんな難しいことではなくて、譲渡や買収に対する思いがあれば、前向きにうまく進んでいくと思います。
今回のエイスリーさんのように間に入って調整してくれる業者の方もいらっしゃいますし、M&Aってそんなにハードルを上げる必要はないのかなっていう気はしますね。

ーなるほど。売り手様に求めるものや、どういう売り手の方と一緒にやっていきたいと思いますか。

そうですね、買収にあたって、様々な調査が必要なので、質問に対してレスポンスが早いことは重要視しています。

私の場合には、M&A候補となる案件が出てきた場合には、すぐに社内の人に共有して、社員から「北星社の成長にその会社は貢献してくれるのではないか」という前向きな評価を受け取ってからM&Aの準備に進みます。

我々も買いたいなと思い始めた時が一番思いが強いので、それがだらだらと間伸びしてしまうと、社内的にも「え、どうなってんの?」となってしまうので。タイムリーかつ積極的に対応していただける売り手の方のと一緒に進めていきたいですね。

またM&A後にも事業に対して協力的にアドバイスいただけるかどうかも、今回のような異業種のM&Aの場合はポイントかと思います。

ー逆に、弊社に対して、ご意見・ご感想などをいただきたいです。

そうですね、正直なところそんなに不満はないんですよ。
M&Aは手数料もかかりますし、その金額も幅があって、料金の高い会社もありますね。

もちろん高い会社は高いなりのことをやっていただけますが、事業計画の中でM&Aの経費も含めた形で計画を組む中で、M&Aの手数料が高いと、ちょっと尻込みしてしまいます。そういう意味ではエイスリーさんは良心的だったと思いますね(笑)。

我々のような中小企業になってくると、手数料にそんなにたくさんのお金はかけられないというのがあるので。

ー最後に、これからの御社の展望について教えてください。

冒頭にも申し上げましたが、時代の流れもあり、弊社の事業内容も印刷から広告宣伝の媒体全般を扱うようにならなければいけないと思っています。

そのような中では、我々の今やっているサービスをいかに膨らませていくかがポイントになります。今後は今回買収したYouTube関連事業も活用し、広告代理店的な要素をより強化する形でトータルなサービスができる会社になっていきたいと考えております。

 

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