美術スタッフとは?職種から必要なスキルまで詳しくご紹介

この記事の監修者

志土地
志土地キャリアアドバイザー

番組制作会社に新卒入社後、リサーチ会社に転職。
長年、テレビ番組などで扱う情報や映像などのリサーチャーとして勤務。
働く中で、エンタメ業界で人材が流動的なのを目の当たりにしたことをきっかけに、
エンタメ業界で働きたい方・業界内の転職を考えている方の転職サポートをしております。

美術スタッフとは?どんな仕事?

美術スタッフは、テレビや映画・舞台でその世界観を表現するためのセットや小道具を作成する仕事です。担当する制作物によって、職種が細分化しています。

美的センスが必要とされるのはもちろんですが、近年最新のCG技術を用いた美術が使用される場合もあるため、美術スタッフは常に新しい技術を身に着ける姿勢が大切です。

 

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美術スタッフの職種

美術スタッフの職種にはどのようなものがあるのでしょうか。

5つご紹介します。

美術監督

海外において美術監督は、プロダクションデザイナーとも呼ばれ、テレビや映画・舞台における全ての制作物・装置の設計の総責任者を担います。

美術監督は、テレビ・映画・舞台・アニメで少しずつ役割や仕事内容が異なるため、それぞれご紹介します。

①テレビの美術監督

テレビ番組の制作が決定したら、プロデューサーと打ち合わせをして、その作品に必要なセットや小道具などを検討します。

具体的には、脚本などを確認しながらそのシーンをイメージし、スケッチをして1つ1つ洗い出しをするという作業になります。

必要があれば、自らセット・小道具などのデザインやその配置も行います。

また、解体も含めた予算内で全ての美術を制作する必要があるため、予算管理も大切な仕事です。

②映画の美術監督

通常は、映画のメインスタッフが編成される時から映画制作に参加しますが、近年は映画の企画段階から参加するケースも増加しています。

映画シナリオの意図を理解し、映画監督がどのような映像を要求しているかをイメージします。

そして、シーン別にロケーションを行うかスタジオセットを組むかを考え、最終的に映画監督の演出イメージ、撮影、照明の意見、技術的条件、製作経費など各所への十分な配慮、調整を重ねて美術の内容を決定するのです。

映画の美術監督にとって大切なのは、「映像になった時にセットや道具がどのように見えるのか」ということを常に考えて制作を行うことです。

美術にかける全体の予算配分を考えながら、映像の質を高める努力が重要だといえるでしょう。

③舞台の美術監督

舞台上の全ての制作物・装置の管理責任者です。

舞台装置の安全性・場面の転換がスムーズに行うことができるかの確認をします。

小規模な舞台の場合、全体の進行を指揮し、演者の指導や舞台上の表現方法を考える「舞台演出家」と兼任になる場合があるでしょう。

④アニメの美術監督

アニメの背景美術に関する統括管理を行います。

監督の意図を読み取り、作品の世界観・雰囲気・カラーを決定づける重要な役割と言えるでしょう。

最初にアニメの脚本とキャラクターデザインが決定した後、舞台背景やオブジェクトなどをデザインする美術設定を行います。

その後、美術設定と監督の絵コンテを基に、そのアニメ作品の代表的なシーンを美術ボードに書き起こすのです。

最後に美術ボードを基にスタッフが背景画を作成すると、そのチェック作業を行います。

アニメの美術監督の場合、スタッフのスケジュール管理などのマネジメント業務も行うのが特徴的といえるでしょう。

美術デザイナー

テレビ・映画などの台本からイメージした雰囲気・世界観を持つ空間を、図面に書き起こす仕事です。

時代背景や、文化的な側面を配慮したデザインをするのはもちろんのこと、安全性・耐久性・衣装とのバランス・照明効果・予算なども考慮した仕事が求められます。

装飾

小道具、大道具、衣装、メイクの総称として使われる言葉ですが、小道具と大道具は独立した職種として見なされる方が多いでしょう。

衣装は、最近ではスタイリストと呼ばれ、出演者の好感度やテレビ番組の視聴率に大きな影響を与える重要な仕事です。

またメイクは、髪型やメイクアップで出演者の雰囲気作りを行います。

裏方の職種ではありますが、どちらも出演者の印象を決める仕事なので、責任が大きい仕事だと言えるでしょう。

小道具

出演者が作品の中で使用する雑貨、家具、道具、食べ物などを調達する仕事です。例として、ドラマと舞台の小道具の仕事の流れをご紹介します。

①ドラマの場合

台本を下読みし、「美打ち」と呼ばれる美術スタッフ全員での打ち合わせに参加してアイデアを提案し、不明点の確認などすり合わせを行います。

次に、美打ちの内容やセット図面(青図)を基に、小道具を発注書に記載する「付帳(つけちょう)書き」を行い、実際の発注を行います。

食べ物(消え物)や発注できない小道具は買うかレンタルで調達します。搬入された小道具を1点ずつ確認し、本番で使用したものを撤収するまでが仕事です。

②舞台の場合

まず、台本を下読みして、使用する小道具をリストアップします。

次に、リストと台本を突き合わせながら演出家と打ち合わせを行い、小道具を調達します。

調達した小道具は、舞台の練習時に実際に役者の方に使用してもらい、演出の妨げになっていないか、スムーズに使用できるかについて確認を行います。

公演期間中に壊れればメンテナンスを行い、公演が終了すれば今後の公演に再利用できそうな小道具とそうでないものとに分別して、再利用できないものを処分するまでが仕事です。

大道具

テレビのセットや舞台の背景などを制作する仕事です。例として、テレビと舞台の大道具の仕事の内容をご紹介します。

①テレビの場合

工場で美術セットを制作する「大道具制作」と、スタジオでセットの建て込みや撤去を行う「大道具操作」で分業します。

大道具操作の場合、1日平均7~8番組、多い時は10番組以上のセッティングと撤去を担当することになるでしょう。

②舞台の場合

舞台の大道具の場合、制作物を納品する数ヶ月~数年前から仕事が始まります。

舞台美術のデザインが決定すると、それを基に設計を行います。特に強度に関するチェックが重要で、筋交い・素材の工夫などで安全性の高いセットを制作します。

特に台組みという人を乗せる装置などは、金属製にして、高い強度と安定を保持するなどの工夫が必要です。

舞台の上に建築のような大掛かりなセットを組む際などは、高度な技術力と知識が求められます。

美術スタッフに求められるスキルとは?

美術スタッフに求められるスキルを2つご紹介します。

クリエイティブな能力

美術スタッフに求められるスキルの1つ目は、クリエイティブな能力です。

作品の世界観や雰囲気を、美術で適切に表現するためにクリエイティブな能力は欠かせません。美的センスと、確かな技術力に基づいた仕事を続けていくことで、一緒に作品を作るスタッフからの信頼を得ていくことができるでしょう。

コミュニケーション能力

美術スタッフに求められるスキルの2つめは、コミュニケーション能力です。

美術スタッフは、作品作りに携わる際、立場の異なる大勢のスタッフと意見やアイデアを交換し、調整しながら仕事を進めていく必要があります。

より良い作品を作るという同じ目的を達成するためには、自分の作りたいものを制作するのではなく、ニーズに合った美術を周囲の人の意見を聴きながら制作するという姿勢が大切だということです。

美術スタッフの転職状況について

美術スタッフの転職先は、美術制作会社やテレビ番組、アニメの制作会社、テレビ番組の美術部門を担当する子会社などです。

テレビ、映画、舞台、アニメいずれのジャンルの美術スタッフも勤務時間が不規則で、納品前の深夜残業なども多数発生することから、退職者が多く、慢性的な人手不足に悩まされています。

そのため、美術スタッフの中途採用の求人は通年で行われていることが多く、未経験者でも積極的に採用が行われています。

雇用形態も、アルバイト、契約社員、正社員とさまざまな中から選ぶことができるため、正社員として転職する前に経験を積み仕事との適性を考えるために、アルバイトから始めてみるのもよいでしょう。

経験者の場合、今までの実績を適切にアピールすることができれば、より良い条件で働くことも夢ではありません。

また、美術スタッフの将来性ですが、テレビ、映画、舞台、アニメなどがなくならない限り需要があり、デジタル化は進んでいるものの、最終的には人の手で制作しなければなりません。そのため、転職後も自分が新たな技術を磨く努力を怠らない限り、仕事がなくなるということは想定しにくいでしょう。

美術スタッフへの転職を希望するなら、未経験者も経験者も小まめに求人情報をチェックし、条件や年収がより自分の希望する内容と合う企業に応募することをおすすめします。

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